機械を変えてみた。別のセルフチェックインキオスクを使って最初からやってみる。もう手順はわかっているから、さくさく進む。しかし顔写真の登録のところで、またしてもつまづいてしまった。登録ができないのだ。その機械でも数回試した。やはりダメだった。

「ふーッ」

 パスポートと搭乗券を手に、近くにあった椅子に腰をおろした。ネットを見ると、スマートパスの登録がなかなかできない……というブログなどがいくつも出てきた。それを読むと、スマホでアプリをダウンロードして登録する方法はうまくいかないことがあるので、空港のセルフチェックインキオスクをすすめていた。しかし僕はそのセルフチャックインキオスクでなかなか登録ができないでいた。

「逆になってしまったが、アプリをダウンロードすればうまくいくかもしれない」

 そう思い立ち、アプリをダウンロード。登録をはじめた。パスポートデータのとり込みなどはうまくいき、顔写真を撮って登録するところまできた。自分の顔をスマホで撮るわけだが、腕をいっぱいにのばし、自分の顔を枠内にいれようとするのだが、なかなか枠に収まらない。手伝ってくれる人がいたら簡単なのだろうが、いまはひとりだ。何回か顔の位置を調節し、腕をのばして撮影体勢を変えてみた。コツがつかめたのか、なんとか枠に顔が収まるようになり、シャッターボタンを押してみた。

 しかしセルフチェックインキオスクと同じ表示がでてしまった。顔が登録されないのだ。気をとり直して何回も撮影した。はじめからやり直してもみた。10回以上はトライしただろうか。しかしダメだった。

 時計を見た。諦めたほうがいいかもしれない。長い列に着くことを覚悟して腰をあげた。セキュリティーチェックに向かう途中に、何台ものセルフチェックインキオスクが並んでいる。

「最後に1回だけトライしようか」

 機械の前に立った。登録を進めていく。そして顔の登録写真を撮る画面になった。枠内に顔を収める。

「ん?」

 すっと登録が終わってしまった。ちょっとうれしかった。さっそく、スマートパスのレーンに進んだ。       

(つづく)