シーズン4の配信も発表されているNetflix隣の国のグルメイト』は、『孤独のグルメ』の松重豊と韓国のバラード歌手ソン・シギョンが韓国と日本で食べ歩きするグルメバラエティだ。シーズン3の12話はソンが松重を日本からの旅行者にもおなじみのプデチゲ専門店に案内した。

■『隣の国のグルメイト』で松重豊が「ジャンク」と言ったプデチゲの由来は?

 米軍部隊に由来するプデチゲを筆者が初めて食べたのは1992年、ソウルのプンジョンホテル(現ホテルPJ)の脇道にあった大衆食堂でのこと。OLらしきグループが大きな鍋を囲んでスプーンで真っ赤な汁をすくっているのを見て食べたくなったと記憶している。

 ソーセージやランチョンミートなどの具をあらかた食べ終わったOLたちが、汁が残った鍋にインスタントラーメンの乾を入れているのもインパクトがあった。

 出てきたスープをひと口すすってその濃厚な旨味に感動した。これはごはんが進む。今思えばそれはランチョンミートの塩分と油によるもので、ヘルシーとは言い難いのだが、〆のラーメンまで美味しく食べた。以来、訪韓時にはかならず食べるようになり、やがてソジュとの相性のよさにも開眼していった。

 数年後、プデチゲの本場といわれる京畿道の議政府(ウィジョンブ)で食べたのは、在韓米軍の放出品をキムチチゲに放り込んだものという出自を恥じ、街を挙げて「議政府名物チゲ」という名前に変えようとした頃だった。

 だが、プデチゲという名前がすっかり定着していたため、結局、元のプデチゲという名前に戻したという経緯があった。

プデチゲ発祥の店といわれる議政府の「オデン食堂」のブデチゲ
プデチゲの主材料である加工肉は、かつては米軍からの払い下げ品が使われていた