Netflix『隣の国のグルメイト』は『孤独のグルメ』の松重豊と韓国のバラード歌手で食通のソン・シギョンが、韓国と日本で食べ歩きするグルメバラエティだ。2025年2月に配信スタートし、現在シーズン4に突入しているが、今年はこの番組のおかげで、今までになかった視点で韓国と日本の食文化の特徴とその違いを確認することができて大変有意義だった。その魅力を振り返ってみよう。
■Netflix『隣の国のグルメイト』松重豊とソン・シギョンの意外な共通点
『隣の国のグルメイト』は、日本人俳優と韓国人歌手が互いの国を訪問し、ホストの思い入れのある料理を食べながらおしゃべりする番組だ。単に食材や調理法を伝えるだけでなく、松重とソンがその料理をどんな時代に、どんな状況で食べていたかを語るのが肝である。本にたとえれば、『韓国料理辞典』ではなく、『韓国料理事典』的な楽しさがある。
松重が1962年生まれ、ソンが1979年生まれなので、二人の間には大きなジェネレーションギャップがありそうに見える。しかし、日本では1970年代半ばには若者の政治運動は収束し、韓国では1987年には一応の民主化が成ったといわれている。
つまり、二人は少年期に政治的なしがらみから解放され、経済的にも一定の豊かさに恵まれ、趣味の面でも職業選択の面でも個人主義を貫くことができた世代という共通点があるのだ。
松重がソンが葉野菜で包んだおかずの「ア~ン」をなかなか受け入れなかったり、頑なに禁酒を守ってソジュのグラスを干さなかったりするなど、すれ違いやメンタリティの違いは目立つが、二人のやりとりを安心して見ていられるのは、そんな背景があるからかもしれない。
■日本料理が韓国に与えた影響、韓国料理が日本に与えた影響
松重とソンの会話を聞いているとわかるが、日本と韓国は海を隔てているとはいえ、地勢や気候、食材が似通っているため、互いに料理に対する親和性が高い。
韓国ではこの十数年間の日本旅行ブームで、日本の食べ物を経験する人が増大した。その結果、ソウルの弘大エリアや聖水洞に行けば明らかなように、日本料理店が急増し、再現性が高まり、多様化も進んでいる。
ソウルではここ数年、淡白な平壌冷麺が人気だが、拍子抜けするほどあっさりしたスープが受けているのは、韓国人がダシをアクセントにした繊細な日本の食べ物を経験したことと無縁ではないだろう。