選挙戦への関心がとても高い時期に見ると、とてつもない臨場感を感じるのが韓国ドラマクイーンメーカー』だ。権力の頂点を目指す者たちの執念が渦巻くソウル市長選を舞台に、現代の政治闘争を冷徹、かつドラマチックにあぶりだした傑作である。(以下、一部ネタバレを含みます)

■ソウル市長選を描いた『クイーンメーカー』、選挙とは「最も優れた指導者」を選ぶ場ではないという痛烈な皮肉!

 本作の主人公は、財閥のウンソングループで戦略企画室長を担うファン・ドヒ(キム・ヒエ)。彼女は深刻な不祥事をもみ消し、会長一家の安泰を盤石にしてきた。まさに「万能の解決師」そのものである。

 実際、グループの会長ソン・ヨンシム(ソ・イスク)の懐刀として、ドヒは手段を選ばない冷徹な策士として腕を振るっていた。しかし、盤石に見えた彼女の忠誠心は、ある残酷な事件を機に粉々に砕け散ることとなる。

 会長の娘婿であるペク・ジェミン(リュ・スヨン)が引き起こした非道極まりない性的暴行事件。ドヒは自らが支えてきた組織の本質が、自分を人間としてではなく、都合よく使い捨てられる「飼い犬」としか見なしていない事実に直面し、激しい嫌悪とともにグループを離脱する。

 折しも、偽りの仮面を被ったジェミンはソウル市長選への出馬を画策していた。財閥の権威を守るために辣腕を振るってきたドヒは、その牙をかつての主へと向け、強烈な復讐に乗り出す。彼女が対抗馬として白羽の矢を立てたのが、過去に何度も激しく衝突した宿敵だ。それは、人権弁護士のオ・ギョンスク(ムン・ソリ)である。

 民衆のために戦い続けてきたギョンスクと、冷徹なイメージ戦略のプロであるドヒ。水と油のように反発し合う2人が、共通の敵を倒すために手を組み、壮絶な選挙戦に挑んでいく。

 ドヒが仕掛ける巧妙な駆け引きが迫力満点だ。最終的にギョンスクもその方法論を受け入れ、2人の女性は虚飾と陰謀が入り乱れる政争の渦中へと突き進んでいく。

Netflixシリーズ『クイーンメーカー』独占配信中
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