Netflix配信ドラマ『Missホンは潜入調査中』は、パク・シネ扮する35歳の冷徹で腕利きな証券監督官ホン・グムボが、相場操作疑惑がある巨大証券会社に20歳の新入社員と偽って入社し、潜入捜査を行う話だ。
ジュノ(2PM)主演『テプン商事』、IU&パク・ボゴム主演『おつかれさま』、キム・テリ&ナム・ジュヒョク主演『二十五、二十一』、ユ・ヘジン&イ・ジェフン主演映画『ソジュ戦争』など、ここ数年は2000年以前の韓国社会を背景とした作品が目立つが、『Missホンは潜入調査中』も1990年代後半を背景としている。ここでは、1990年代の再現性という視点で本作第1話を見てみよう。
■『Missホンは潜入調査中』に登場する1990年代アイテム
■ルームサロン
ドラマの冒頭、打ち合わせの場所として使われていたのが「ルームサロン」と呼ばれる個室の高級クラブだ。男性の利用が多く、客一人ひとりにホステスが付く。ドラマや映画では日本料理店(刺身店)と並んで有力者の密談や接待の場としてよく登場する。
韓国の悪しき賄賂文化、過剰な接待文化を象徴する遊興施設だったが、キム・ヨンラン法(不正請託及び金品などの収受禁止に関する法律)が2016年に施工され、接待費に上限が設けられ、ルームサロン業界は打撃を受けた。本作第1話で打ち合わせの場にいた一人が「監督官が女性だと知っていたら他の場所にしたのに」と言っていたように、女性にとってはけっして居心地のよい場所ではない。
■IMF事態
1990年代後半を背景とした作品の多くが、IMF事態(経済危機)を物語のモチーフとしている。多くの失業者を生んだこの事件は、人と社会をドラスティックに転換させたので、ドラマや映画のモチーフになりやすい。IMF事態のリアリティを知りたい人は、キム・ヘス主演映画『国家が破産する日』の視聴をおすすめする。
■俳優イ・ドックァ
本作で時代を感じさせるものとして機能しているのは事件や施設だけではない。ホン・グムポが潜入したハンミン証券の会長に扮しているベテラン俳優イ・ドックァ(1952年生まれ)の存在も見逃せない。
日本では韓流初期のイ・ビョンホン主演『オールイン 運命の愛』のカジノ企業会長役で彼を知った人が多いかもしれないが、韓国での知名度では先日亡くなった国民俳優アン・ソンギに匹敵する。
多くの作品に出ているが、チョン・ドゥファン大統領に扮した『第五共和国』は彼の代表作だ。映画『26年』のチャン・グァン、映画『ソウルの春』のファン・ジョンミン、『エマ』のキム・ジュンベなど、何人もの俳優が現代史上、最大の悪役を演じているが、韓国ではチョン・ドゥファン大統領役と言えばいまだにイ・ドックァを思い出す人が多い。眼光の鋭さと野太い声は、良くも悪くも我が国の力の時代を象徴している。
■グリーンソジュ
第1話の後半には、『恋の通訳、できますか?』『CASHERO 〜ヒーローは現金を持つ〜』のキム・ウォネ扮するユン局長が食堂でクッパを食べるシーンがある。このとき、彼がソジュを飲んでいるのも時代を感じさせる光景だ。
今でもランチタイムにビールやソジュを飲む会社員がいないわけではないが、飲酒に対する意識の変化で1990年代と比べたら飲む人はずっと少ない。当時のソジュはアルコール度数が23度くらいで、2000年代に入って10度台になっていった。
ソジュの銘柄は1994年に発売された斗山の「グリーン」(のちのチョウムチョロム)。初めて緑色のボトルを採用してヒットしたため、以来、他社も追随したことで知られている。