ソウルの観光拠点は漢江南側の新沙洞(シンサドン)を中心とした江南や西部の弘大(ホンデ)時代が長かったが、パンデミックの少し前から漢江北側の鐘路3街(チョンノサムガ)を中心としたエリアやソウル東部の聖水洞(ソンスドン)が脚光を浴びるなど、分散化する傾向にある。

 今回は数々の韓国ドラマ韓国映画の舞台であり、食べ歩きや散歩が楽しい鐘路3街エリアの魅力をお伝えしよう。

■ソウルの鐘路3街エリアとは?

 鐘路3街というエリアの具体的な範囲は日本人にはあまり知られていないだろう。ざっくり言うと、東は宗廟に接するソスンラギルまで。西は仁寺洞との境界線にある楽園商街まで。南は清渓川まで。北は安国駅辺りまでの範囲だ。

 地下鉄5号線の鐘路3街とその周囲徒歩10分圏内には、古民家をリノベーションした個性的なカフェやバー、レストランが密集する益善洞とソスンラギル、焼肉店が妍を競う敦義洞、赤テントの灯が手招きする屋台街(5号線 鐘路3街駅沿い)、鐘路(1号線 鐘路3街駅沿い)の裏通りのグルメ横丁、高齢者が憩うタプコル公園、韓国らしさをモチーフとしたギャラリーや伝統喫茶が連なる仁寺洞、伝統家屋が連なる北村などがある。韓国文化のすべてが集まるエリアと言ってよい。

ホットスポット、ソスンラギルは鐘路3街エリアの東端にある

■『ソンジェ背負って走れ』『女神降臨』が撮影された伝統喫茶

 鐘路3街とその周辺では多くのドラマや映画が撮影されているので、聖地巡礼もの楽しみのひとつだ。

 益善洞の伝統喫茶「トゥラン」では、ビョン・ウソクキム・ヘユン主演『ソンジェ背負って走れ』や、ムン・ガヨンチャウヌASTRO)、ファン・イニョプ出演『女神降臨』などが撮影されている。斎藤工主演の日韓合作映画『カフェ・ソウル』もこの店が舞台だった。同作は2009年の撮影なので、現在のような繁華街になる前の枯れた古民家街が見られる貴重な作品だ。

 また、コン・ユキム・ゴウン主演『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』や、コン・ヒョジンカン・ハヌル主演『椿の花咲く頃』にも、益善洞で撮られたシーンがある。

益善洞の伝統喫茶「トゥラン」
多くのドラマが撮影された益善洞の「マダンフラワーカフェ」

 鐘路3街駅5番出入口の隣には、シン・ヘソンチ・チャンウク主演『サムダルリへようこそ』で主人公が子供時代、のど自慢番組で歌う際、AI処理で登場した実在の名司会者ソン・ヘ(1927~2022)の胸像がある。

韓国芸能界の重鎮だったソン・ヘの像

■タプコル公園ではユン・ヨジョンやコン・ユが熱演

 鐘路3街駅5番出入口南側のタプコル公園内では、『イカゲーム』シーズン2でコン・ユ扮するセールスマンが大立ち回りを演じたシーンが撮影された。

 また、公園沿いの通りでは、『ウンジュンとサンヨン』で大学生のサンヨン(パク・ジヒョン)とサンハク(キム・ゴヌ)が散歩したシーンや、映画『ソジュ戦争』でジョンロク(ユ・ヘジン)とインボム(イ・ジェフン)が酔って歩くシーン。映画『バッカス・レディ』ではユン・ヨジョン扮する老娼婦が客引きするシーン、チョン・ウソン主演映画『神の一手』では先日亡くなった国民俳優アン・ソンギ扮する伝説の棋士が路上で碁を打つシーンが撮影された。

『イカゲーム』シーズン2で、コン・ユが踊るようにパンを踏みつけるシーンが撮影されたタプコル公園