大韓航空がアシアナ航空を吸収する話はなかなかサクサクと進まない。2025年の5月、韓国の公正取引委員会は、吸収に伴って発生する両航空会社のマイレージ統合案に待ったをかけ、差し戻しを行った。提案された統合比率の再検討を求めたのだ。
■大韓航空の子会社となったアシアナ航空、仁川国際空港のターミナルが第2ターミナルへ変更
韓国人のなかには、アシアナ航空のイメージを好む人が少なくない。その一翼を担っていたのがアシアナモデルだった。アシアナ航空の広告モデルのことで、女優の登竜門ともいわれていた。清楚系の若手女優が選ばれることが多く、彼女らはその後、韓国ドラマでも活躍していく。
8代目アシアナモデルのコ・ウォニは、『キング・ザ・ランド』と『その恋、断固お断りします』の2作で主人公の親友である客室乗務員役を演じている。傑作時代劇『太陽を抱く月』でヒロインのホ・ヨヌ役を演じたハン・ガインは、4代目アシアナモデルだ。
アシアナ航空は、韓国の財閥系である錦湖アシアナグループの中核企業だった。しかしLCCのシェア拡大などで経営が悪化し、同グループはアシアナ航空の売却を決める。引受先として、現代財閥グループ系や未来アセット大宇系の企業が手を揚げ、売却は淡々と進むかに見えた。
そこを襲った新型コロナウイルス。人々の動きが止まり、アシアナ航空の収益も見通せず、売却話は白紙に戻ってしまった。
しかし2020年、大韓航空がアシアナ航空を吸収する話がまとまる。2024年にはアシアナ航空は大韓航空の子会社になった。その後、アシアナ航空のブランドの扱いで迷走がはじまる。2025年の発表では、「2026年末までに、アシアナ航空のブランドは段階的に廃止する」と発表されているのだが。
大韓航空がアシアナ航空を吸収する際の大きな足かせになっているのがマイレージだった。
いまのマイレージは、アライアンスという航空会社連合のなかで貯まっていく。僕はユナイテッド航空のマイレージプログラムでマイルを貯めているが、ユナイテッド航空はスターアライアンスに加盟している。アシアナ航空もスターアライアンスのメンバーだ。その結果、アシアナ航空に乗ってユナイテッド航空に貯めていくという形になる。
このアライアンスはマイレージ以外の連携も生んでいる。共同運航は同じアライアンス内で行われることが多い。搭乗便が急遽、欠航になったときも、振り替え便に同じアライアンスが使われることが一般的だ。僕はソウルとバンコクの間をよく移動する。この区間はスターアライアンスに加盟しているタイ国際航空も就航してる。
アシアナ航空が遅延といったときは、しばしばタイ国際航空に振り替えられている。その逆もある。なぜ同じアライアンス間での振り替えになるかといえば、マイレージというものをある種の財産ととらえているからだ。マイルが貯まれば航空券に変えることができる。財産ととらえる価値がある。日頃、マイルのやりとりがある同じアライアンス間の方が手つづきが簡略なのだ。
しかし大韓航空は別のアライアンスであるスカイチームに属している。マイル統合の割合次第では、アシアナ航空にマイルを貯めていた人が損をしてしまう。比率を動かすとその逆現象が起きる。ひと筋縄ではいかないのがマイルの統合なのだ。