韓流ブームを巻き起こした傑作ドラマ『冬のソナタ』全20話を凝縮して、128分のストーリーに編集した『映画 冬のソナタ 日本特別版』が公開されている。この作品で魅力的なロケ地の代表となったのが南怡島(ナミソム)だった。ここで撮られた雪の情景は、韓国ドラマ屈指の名場面として語り草になっている。
■『冬のソナタ』の画面を埋め尽くす白銀の世界はどのように撮影されたのか
南怡島の外周はおよそ6キロ。徒歩で1時間半もあれば島をぐるりと一周できる規模だ。広大な面積ではないからこそ、手軽な散策を楽しむのには最適な場所なのである。
劇中では、春川(チュンチョン)の高校に通うチュンサン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)が、自習の合間にこっそりと抜け出して初デートに向かう。
映像を見ていると、まるで春川の市街地から目と鼻の先にあるように思えてしまう。しかし、現実は異なる。実際の南怡島は春川の中心街から30キロほど離れた場所に位置している。高校生が休み時間に気軽に出向くには、少々遠すぎる距離なのである。
実は、この島はソウル近郊の大学生にとってお馴染みの場所であった。韓国の学生たちは、気の合う仲間同士で頻繁に合宿を行う文化を持っている。ソウル市内から約60キロという立地の南怡島は、日帰りや小旅行の感覚で訪れるのに手頃な距離感だ。ソウルで学生時代を送った『冬のソナタ』のユン・ソクホ監督も、この島を訪れていた。
そんな南怡島で撮影がスタートしたのは2001年12月12日。冷たい小雨がぱらつく肌寒い日であった。制作陣はそのまま島でのロケを継続するつもりだったが、予定通りに撮影が進まなくなる。冬の情景を描く作品にとって不可欠な雪が一向に降らなかったからだ。
画面を埋め尽くすような白銀の世界が絶対に必要。それにもかかわらず、12月半ばを過ぎてなお、島には雪の気配すら生じない。KBSの第1回放送日が2002年1月14日に迫っていた。残された時間はすでに1か月を切っていたのである。
焦りを募らせたユン・ソクホ監督は、ついに苦渋の決断を下した。国内での撮影に見切りをつけ、雪を求めて北海道へ渡ろうと考えたのだ。スタッフは急いで海外ロケの準備に取り掛かった。
しかし、ここで別の問題が発生する。肝心の脚本の完成が遅れたのである。撮影すべき具体的なシーンが決まらず、スケジュールは完全に白紙に戻ってしまった。もはや時間的に北海道へ行くことすら不可能な事態に陥った。