ドラマは第1話でどれだけ視聴者を惹き付けるかが成否を決める。Netflix配信作『愛の光』第1話前半では、高校生の男子と女子が田舎町でともに時間を過ごす様子が淡々と描かれる。ハラハラドキドキさせる場面もなければ、没入させる仕掛けもない。じつに静かなスタートなのだが、その描写が繊細でいつのまにか心をつかまれている。
■Netflix配信『愛の光』冒頭で描かれる素朴な田舎町を舞台にした高校生男女の淡い恋心
『愛の光』は、高校3年生のときに田舎町で出会ったテソ(パク・ジニョン/GOT7)とウナ(キム・ミンジュ/元IZ*ONE)が10年後にソウルで再会する物語だ。
第1話、テソは高3の夏休みに弟ヒソ(シン・ジェハ)と二人で東ソウルターミナルからバスに乗り、祖父母の住む田舎町に移ってくる。撮影地は忠清南道の扶余や洪城、全羅南道の順天などだ。
数年後に廃校になる高校の読書室で、二人だけで自習するテソとウナ。部屋に冷房はなく、扇風機が申しわけ程度の風を二人に送る。お昼ごはんは職員用の休憩室で買い置きしてあったカップ麺。冷蔵庫にはテソのハルモニが漬けた美味しいキムチがある。
登下校時、ウナはバス、テソは自転車で風を切り、競うように走る。
テソの祖父母の家は軒先にオクスス(黍)がぶら下がった木造家屋。ハラボジ役は枯れ味が魅力の俳優カン・シニル(1960年生まれ)。彼は韓国で初めて1,000万人を動員した映画『シルミド/SHILMIDO』(2003年)でソル・ギョングやチョン・ジェヨンと共演した頃から老け役が板についていたが、23年経った今もまったく変わらない。
映画的な表現とでも言うのだろうか。田舎町の素朴な風景や風物を背景とした登下校と読書室の描写だけで、少しずつ通い合う二人の心の動きが伝わってきてじつに心地よい。