韓国時代劇赤い袖先』は、若き王族イ・サンジュノ2PM)と宮女ソン・ドギムイ・セヨン)の「身分を超えた純愛」を描き出している。本作の大きな魅力は、情緒豊かなラブロマンスの背後に、史実に基づく重厚な政治闘争が織り込まれている点である。実際の歴史背景を紐解くことで、物語の奥深さはさらに増していく。(以下、一部ネタバレを含みます)

朝鮮王朝の様々な権力闘争が物語の核となって『赤い袖先』を重厚に彩った

 物語は1764年、21代王・英祖(ヨンジョ/イ・ドクファ)の側室であった映嬪(ヨンビン)の弔いの場面から幕を開ける。彼女はサンの実父・思悼世子(サドセジャ)の生母である。しかし、我が子を「王位継承者としてふさわしくない」と英祖に涙ながらに訴えた過去を持つ。結果として思悼世子は米びつに閉じ込められて非業の死を遂げてしまった。

 この凄惨な事件に深く関与した女性の死から物語が始まることは、本作が持つ深い歴史的意義を示している。当時、サンは12歳、ドギムは11歳であった。

 序盤では、サンが禁書を読んでしまって窮地に陥る事件が起きる。英祖の生母は身分がとても低かったとされており、英祖はその出自に強いコンプレックスを抱いていた。そのため、生母の身分を論じたこの歴史書を極端に嫌っていたのである。祖父の逆鱗に触れそうになったサンを、ドギムの機転が見事に救い出す。

 さらに、サンの行く手を阻む最大の障壁として立ちはだかるのが和緩翁主(ファワンオンジュ/ソ・ヒョリム)だ。英祖の娘でありサンの実の叔母にあたる彼女は、実兄である思悼世子を嫌い、その死にも深く関与したとされる。劇中では悪役として暗躍し、サンに対して強烈な敵意をむき出しにしていく。

『赤い袖先』(C)2021MBC