バンコクからの帰路、安さとマイルを貯める関係からアシアナ航空を使うことが多い。航空券はバンコクで買っている。そのときは香港に用事があったので、バンコクー香港ーソウルー東京という航空券をとってもらうことにした。香港から東京まではアシアナ航空になる。すると懇意にしている旅行会社からこういわれた。
「ソウルまではとれるんですけど、ソウルー東京間がまったくとれません。かなり混んでいるみたいで」
■ソウルから東京への帰国便、MCCのエアプレミアムに搭乗する
僕はそれほど心配はしなかった。ソウルと東京の間にはかなりの便数のフライトがある。たまたまアシアナ航空が満席になっているだけで、LCCも考えれば、ひと席ぐらいなんとかなると思っていた。その区間の航空券は自分でとることにした。
しかしその日は本当に混んでいたらしい。ソウルー東京間の飛行機を検索したのは、搭乗日の数日前だった。
「高い」
予約可能な飛行機はあったが、運賃が軒並みあがっていた。片道だがLCCでも3万円以上。ソウルー東京間は片道1万円台、うまくいけば1万円を切るといった感覚でいる僕は少し焦った。
しかしもうどうしようもない。検索したなかでいちばん安い航空券を選ぶしかなかった。
エアプレミアが3万1000円でいちばん安かった。
エアプレミアは韓国のMCCと呼ばれていた。ミドルコスト・キャリアである。座席間隔は広く、制限はあるが、通常の重さだったら預ける荷物は無料。軽食も出る。ビジネスクラスもある航空会社だった。
LCCとFSCの中間を狙った航空会社……MCCと呼ばれるようになった。FSCとはフルサービス・キャリアの略。預ける荷物は無料で機内食が出る。日本でいったら、日本航空と全日空がそれにあたる。
MCCに厳密な定義があるわけではないが、日本でいったらZIPAIRがそれに近い気がする。ZIPAIRはLCCといわれているが、座席が水平まで倒れるフルフラットシートのビジネスクラスがある。このクラスはLCCにしたらかなり高い運賃設定になっているが、FSCのビジネスクラスの半額ほどだ。
このMCC系の航空会社が好調だという。とくにハワイや西アメリカ線が人気だという。エアプレミアやZIPAIRはともに、ハワイや西アメリカ路線に就航している。
その一方で、両社はソウルー東京間といった短距離区間にも就航している。この区間はMCCというよりLCCの顔で運用されているように思う。MCCは短距離と長距離というふたつの顔をもっているわけだ。
以前、エアプレミアに乗ったことがあった。やはりソウルー東京間だった。LCCに比べれば静かな搭乗……という印象が残っている。LCCは機内持ち込み荷物の重さや個数、駐機時間を短くするためのスムーズな搭乗を促す注意が多い。搭乗口で待っていると、そのアナウンスが頻繁に流れる。しつこいほどの頻度なのだ。
それに比べると、エアプレミアは静かだった。機内も座席間隔が広いからゆったりできる。LCC特有のきりきりとした雰囲気がなかった。LCCに比べれば運賃は高い。その見返りがこのゆったりとした空気のような気がしたものだった。
MCC系航空会社は、運賃変動が少ないことも特徴だった。LCCは混み具合によってドラスティックに運賃が変わる。今回のように混みあう時期は、ソウルー東京間が倍近い運賃に跳ねあがる。しかしMCC系は運賃変動が少ないから、今回のように最安値がエアプレミアということが起きてくるのだ。
香港を出発したアシアナ航空は夜行便だった。午前零時40分に香港を出発し、午前5時にソウルに着く。エアプレミアの出発は午前8時45分。このスケジュールで日本に帰国することになった。