エアプレミアソウルから帰国することになった。香港からソウル経由で東京に戻ろうとしていた。アシアナ航空でつなごうとしたのだが、ソウルー成田間が満席だった。

 混みあう時期だった。この区間はLCC(ローコスト・キャリア)でも片道3万円を超える価格をつけていた。検索すると、MCC(ミドルコスト・キャリア)のエアプレミアがいちばん安かった。

■早朝発のMCCエアプレミア、仁川国際空港で仮眠しようと思ったら……

 香港を深夜に出発した飛行機がソウルの仁川国際空港第2ターミナルに着いたのは午前4時半だった。日本に向かうエアプレミアは8時45分に第1ターミナルから出発することになっていた。

 シャトルバスで移動し、第1ターミナルでチェックインがはじまるまで仮眠をとるつもりだった。香港からの飛行機はあまり眠れなかった。

 仁川国際空港では何回も夜明かししていた。最近の飛行機は深夜や早朝便が増えている気がする。それらの便は安いから、つい予約してしまう。勢い空港仮眠ということになってしまうのだ。

 仁川国際空港の第1ターミナルは到着階で寝ることが多かった。仮眠のためにつくられたわけではないが、並ぶベンチはクッションがあり、空港仮眠組を考慮してくれていた。夜にそのエリアに行くと、早朝便に乗る韓国の人々が体を横にしていた。

 しかし今回、そのスペースに行ってみると、各ベンチに人が寝ている。日本人も30人以上はいる気配だった。

「空きベンチがない?」

 少し焦った。その場所には100近いベンチが置かれている。その間を歩きながら、空きスペースを探す。あった。最後のひとつかもしれなかった。

 このベンチは2つのベンチが左右につながり、反対側にさらに2つのベンチがある構造になっている。僕が腰をおろした反対側に座っていたのは日本人の女性のふたり連れだった。僕は鞄を枕代わりに置き、体を横にした。女性たちは朝の5時台だというのに、どこかに日本語で電話をかけていた。

 仁川国際空港は、どこでも無料Wi-Fiの電波をしっかり拾う。おそらく、日本にいる友達と話しているのだろう。聞くつもりはなかったが、すぐ脇で話しているから、聞こえてきてしまう。美容皮膚科に行ったようだった。ポテンツァとかインモードといった単語が聞こえてくる。

 いま、ソウルで美容皮膚科の治療を受ける日本人女性が多い。肌に特殊な超音波や高周波をあて、ニキビ跡を消したり、顎のたるみをなくして皮膚を引き締める方法だ。治療は簡単で、日本でも行われているが、ソウルのクリニックは安かった。半額近い2万円から3万円といった料金で治療を受けることができた。

 電話の話から、彼女たちは前日の深夜に羽田空港を出発していたようだ。LCCの深夜便なら、午前2時すぎ発のピーチだろうか。僕も何回か乗ったことがあった。羽田空港発の仁川国際空港行きは、深夜に3便がある。アシアナ航空、大韓航空、そしてピーチだ。どの便も早朝に仁川国際空港に着く。そのまま市内に向かえば、美容皮膚科に午前中の予約を入れることができる。

 ベンチを埋めていた日本人たちの帰国便は、そろそろチェックインがはじまるようだった。仁川国際空港から成田国際空港に向かう便は、朝の7時台に5便もある。エアプサンチェジュ航空、ジンエアー、イースター航空などの韓国LCCである。ピーチと韓国のLCCを組み合わせ、早めに航空券を買えば、往復で3万円台でソウルを往復できる。

 いま、第1ターミナルの仮眠ができるベンチにいるということは、昨晩の終電近い電車か深夜バスを利用したはずだ。ということはソウルに1泊もしていない可能性が高い。

8時45分発のエアプレミアのチェックインがはじまる