傑作『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』や『私の解放日誌』を生み出したパク・ヘヨン脚本家。彼女の新作として大いに注目されたのが、Netflix配信『誰だって無価値な自分と闘っている』である。

 名セリフと名場面の連続で、人生ドラマとして高い評価を受ける本作。劇中では数多くのワケありの登場人物が出てくるが、中でも強い印象を残すのがファン・ジンマン(パク・ヘジュン)だ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『誰だって無価値な自分と闘っている』詩人の無頼と哀しみを表現するために拳を握りしめながら演じたパク・ヘジュン

『誰だって無価値な自分と闘っている』は、20年間も映画監督デビューを果たせなかったファン・ドンマン(ク・ギョファン)と、彼と心を通わせる映画会社PDのピョン・ウナ(コ・ユンジョン)が主役となっている。

 さらに、名だたる共演陣が揃っている。映画監督と映画会社代表として二人三脚の夫婦、パク・ギョンセ(オ・ジョンセ)とコ・ヘジン(カン・マルグム)。映画会社チェ・フィルムの代表を務めているチェ・ドンヒョン(チェ・ウォニョン)。国民的な女優のオ・ジョンヒ(ペ・ジョンオク)と、その義理の娘で女優のチャン・ミラン(ハン・ソナ)。大御所俳優のノ・ガンシク(ソン・ドンイル)など……。

 韓国ドラマに欠かせない俳優たちが集結したのも、『誰だって無価値な自分と闘っている』の大きな持ち味になっている。

 中でも、画面に出てきただけで緊張感をもたらしたのが、ファン・ジンマン(パク・ヘジュン)だ。彼はドンマンと同居している兄である。口数は極端に少なく、家ではいつも焼酎を飲んでいる。仕事は溶接。ときには白菜の収穫を手伝ったりもしている。

 ジンマンは、かつては詩人として名声を得ていて、詩集も出していた。熱心な読者たちが話を聞きたいと訪ねてくることもある。そんなときでも愛想を浮かべることができず、みんなと食事をしていても仏頂面だ。あげくに、ぶっきらぼうに自説を述べて場の雰囲気を壊したりする。空気を読まないこと……それが一貫した生き方なのだ。

 彼にとって痛恨なのは、妻と離婚した後に最愛の娘と会えなかったこと。その苦しみが自分自身をとことん追い詰めている。

Netflix『誰だって無価値な自分と闘っている』独占配信中 画像:JTBC