ソウルでマーラータンを食べてみることにした。しかしソウルに暮らす知人の声は少し曇っていた。
「マーラータンは一時、すごい人気だったんですが、最近はもう下火かな。その原因のひとつが、店側の衛生問題だったんです。食中毒を起こした店があったりして」
ネットでマーラータンの店を調べてもらった。「韓国語なんですけど、いまは衛生面に気を遣っていることを強調しているところが多い」と教えてくれた。具材ビュッフェスタイルなので、具材の鮮度にはかなり厳しいチェックをしているようだという。
そんな一軒に入ってみた。NAVERマップを頼りに訪ねた。2階の店で探すのに少し時間がかかったが。
ドアを開けると、左手のコーナーに食材が並んでいた。手前に金属製のざるが置かれていた。ここに選んだ具材を入れて……おそらくそのスタイルだと思うのだが、その先で困った。そこにタッチパネル式の機械が置かれていた。日本語にも対応していた。しかしすでにオーダーするスタイルがわかっている人を前提にしている。僕のように、はじめてソウルでマーラータン屋に入る人を想定していないのだ。具材を入れたざるをどうすればいいのかわからないのだ。
混みあう時間帯に入ると注文しにくいかと思い、あえて午後1時すぎに店に入った。10個ほどあるテーブルは半分ほど埋まっていたが、注文をする人がいない。見よう見まねというわけにはいかないのだ。
タッチパネルの前で立ち尽くしてしまった。いろいろなボタンを押しても先に進まない。
すると厨房から若い女性が出てきてきれた。スマホで翻訳した日本を見せてくれた。具材を入れたざるを、計量器の上に置かないといけないらしい。そこから注文がはじまる。それが注文パネルのスタートのスイッチだった。(つづく)

