まさに1636年12月の「清国の攻撃」から始まる過酷な10年間。この時期の朝鮮半島における「激動と受難の歴史」を描いた傑作が『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』である。
圧倒的な武力を誇る清国によって、平穏だった人々の日常は一瞬で崩れ去っていった。本作は、そうした朝鮮王朝存亡の危機を正面から捉えており、本格的な歴史劇としてズシリとくる重厚感を持ち合わせている。(以下、一部ネタバレを含みます)
■韓国時代劇『恋人』ナムグン・ミンが演じるジャンヒョンの自己犠牲は果たして報われるのか
このドラマでは、絶望的な戦火の渦中において、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれ合う主人公2人の壮絶な愛の軌跡が、ダイナミックに展開されている。ナムグン・ミンが演じるジャンヒョンと、アン・ウンジンが扮するギルチェ……2人の愛は何度も無残に引き裂かれてしまう。
しかし、生死すら定かではない絶望的な状況下にあっても、2人の心には常に相手を想う切実な感情が灯り続けていた。
お互いの繊細な気持ちは、どのように再び「めぐりあう愛」へと昇華していくのか。本作は、その途方もなく険しい道のりを劇的な演出で見せてくれる。
ストーリー全編を通して深く印象に残るのは、平和な村で何不自由なく育った世間知らずの令嬢ギルチェが、度重なる苦難と喪失を通して逞しい女性へと変貌を遂げていくプロセスだ。それは、劇的な成長の証でもあった。
同時に、愛する人をどんなことをしてでも最後まで守り通そうとするジャンヒョンの信念が心強かった。
実際、人質と間違われて清の首都・瀋陽へと連行されてしまったギルチェは本当に悲惨な目にあった。しかし、ジャンヒョンが渾身の力で助け出してくれる。そのときには、息が詰まるような緊張感と悲壮感が画面いっぱいに描きだされていた。