■『ワイルド・シング』に影響を与えた2本の映画

『ワイルド・シング』は浮き沈みの激しい芸能界で、かつてのスターがもうひと花咲かせようとする話だ。

 トライアングルの三人が出演をオファーされたイベントの開催地が江原道(現・江原特別自治道)だったり、ヒョヌが連れていかれた芸能事務所が薄汚い雑居ビルだったりしたのを見て、ピンと来た人もいると思うが、本作は『ラジオスター』(2006年)と『覆面ダルホ~演歌の花道~』(2007年)という映画に大きくインスパイアされている。

『ラジオスター』は、1988年に歌謡大賞を獲ったが、大麻や暴力沙汰で落ちぶれたロック歌手ゴン(パク・チュンフン)の話だ。

 受賞の約20年後、地方ラジオ局のDJを依頼され、いやいや江原道の僻地、寧越(映画『王と生きる男』の舞台)に向かう。最初はまったくやる気を見せなかったゴンだが、人間味のあるマネージャー(アン・ソンギ)や番組スタッフの尽力と地元民とのふれあいを通して、番組と田舎町がしだいに熱を帯びていく。

韓国芸能界を舞台にした名作『ラジオスター』でロック歌手のマネージャーを演じたアン・ソンギ(2026年1月逝去)

 一方、『覆面ダルホ~演歌の花道~』は場末のキャバレーで歌うロック歌手ダルホ(チャ・テヒョン)が、ソウルの弱小芸能事務所社長(イム・チェム)の目にとまり、演歌歌手としてデビューさせられる話だ。

『ワイルド・シング』を楽しく視聴できた人はぜひこの2作を観てほしい。いずれも韓国映画の世界に、「ハートウォーミング」というジャンルを確立させた良作である。

●配信情報

Netflix『ワイルド・シング』独占配信中

[2026年/107分]監督:ソン・ジェゴン 脚本:キム・チェウ

出演:カン・ドンウォン、オム・テグ、パク・ジヒョン、オ・ジョンセ、カン・ギヨン、シン・ハギュン、