Netflix配信中の映画『ワイルド・シング』は、2001年に華々しくデビューしたものの、その後スターの座から転げ落ちた男女混成3人組ダンスグループ「トライアングル」が、20年後、再結成にチャレンジする物語だ。

 当時のK-POP界の流行を再現するレトロな楽曲やビジュアル、アイドルを演じるカン・ドンウォンやライバル歌手役のオ・ジョンセら、実力派俳優の見事な役作りが注目を集めている。(以下、ネタバレを含みます)

■コメディ映画『ワイルド・シング』に込められた痛烈なメッセージとは?

 超大ヒットアクションコメディ映画『エクストリーム・ジョブ』の制作会社が手掛ける本作。物語は一見ドタバタ喜劇風だ。

 しかし、終盤、ヒョヌ(カン・ドンウォン)がグループのメンバー、ドミ(パク・ジヒョン)に投げた言葉には含蓄があり、ハッとさせられる。

 2001年にデビューしたときの成功体験が忘れられず芸能界にしがみついているヒョヌ。芸能界に見切りをつけ、富豪と結婚して物質的には豊かになったが、夫や義母の顔色をうかがってばかりの暮らしに爆発寸前のドミ。生活のためにやっている保険セールスの仕事に嫌気がさしているサング(オム・テグ)。

 すったもんだの末、三人は20年ぶりにトライアングル再結成を決意。EXPO誘致イベント出演のために地方都市を目指す。道中さまざまな障害があり、出演が危ぶまれるが、なんとか会場に辿り着く。そこにはさらなる困難が待ち受けていたものの、三人は強引にステージに上がって歌い踊り、拍手喝采を浴びる。

 それを機にヒョヌとサングは本格復帰を決意するが、ドミはビデオチャットで怒鳴っている義母の顔を見ながらそこから静かに去ろうとする。

 ドミの背中に言葉をぶつけるヒョヌ。

「そんな人生でいいのか?」

 このヒョヌの言葉に、多くの韓国ドラマの登場人物の顔を思い出す。

ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』のリュ・スンリョン、『韓国でビルオーナーになる方法』のハ・ジョンウ、『都会の部長 田舎へ行く』のパク・ソンウン、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のイ・ソンギュン、『ミセン -未生-』のイ・ソンミンなと、目先の競争にとらわれるあまり、何かを犠牲にしてきた男たちである。

 過剰な不動産投資熱、極端な少子化、高い自殺率、格差社会、学歴信仰、就職難など、私たちが自ら作り出したものが私たちを苦しめている。

韓国人の憧れであり、ストレスのもとでもある高層アパート