女性たちのグループは皆、お昼を持参していた。そこから見えるのは、韓国の高齢者たちの生活の厳しさだった。韓国の高齢者貧困率にはさまざまな調査があるが、仮に年金などの収入が所得平均の半分以下という線を引くと、高齢者の4割近くがそこに入ってきてしまうという。韓国は高齢化も急だが、高齢者の貧困率も高いといわれている。
韓国映画『ビニールハウス』は、そんな高齢者の社会を描いたサスペンスミステリーだ。農村のビニールハウスに暮らし、訪問介護士でなんとか暮らす女性が事件に巻き込まれていく。訪問先は認知症が進む老夫婦の家だった。入浴介助中に奥さんが亡くなってしまう。それを隠すために、彼女はやはり認知症を患う自分の母親を代役に送り込む。そして老夫婦のご主人の自殺……。主役をキム・ソヒョンが演じている。
仁川国際空港で目にした老人たちの顔は穏やかで、体から貧困のにおいを発しているわけではなかった。しかし老後の資金といった数字を目にすると、かなり厳しいものがあるのかもしれない。
ソウル市民は8月初旬の猛暑をコンビニでしのいだ。高齢者たちは、無料になる電車を利用して仁川国際空港に向かい、暑さをやりすごしていた。
仁川国際空港はなかなか警備が厳しい空港だ。かなりの数の警察官や警備員が見まわっている。空港から発信しているユーチューバーらしき人が注意を受けているのを何回も見ている。そんな空港の到着ロビーや空港鉄道へつづく通路脇の休憩スペースが、和気あいあいとした空気に包まれていた。