Netflix大ヒット作『素晴らしき新世界』で、イム・ジヨンが演じたのは朝鮮王朝時代の悪女カン・ヒビン。彼女は死罪になった直後にタイムスリップして現代の女優シン・ソリに生まれ変わった。そして、ホ・ナムジュンが扮する財閥後継者チャ・セゲとめぐりあう。このとき重要なのは、前世となる朝鮮王朝時代の因縁だった。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『素晴らしき新世界』前世の因縁とは?世子と大君の間にあった複雑な関係性が浮き彫りに
『素晴らしき新世界』で描かれる前世の朝鮮王朝時代。若き宮女だったカン・ヒビン(イム・ジヨン)は大君(ホ・ナムジュン)を深く愛していたが、大君を敵視していた世子(チャン・スンジョ)があえて2人の恋仲を狡猾に邪魔する。
そこで、カン・ヒビンが大君を守り抜くために世子のそばに身を投じる、という展開になっていた。結局、あくどい世子は陰謀をめぐらせて大君を流罪(後に死罪)に追い込んでいく。
こういう描き方を見ると、改めて大君と世子の立場の違いが大いにクローズアップされてくる。
そもそも、朝鮮王朝における王室の仕組みは、極めて非情な掟によって支配されていた。王妃が産んだ男児は「大君(テグン)」と称され、側室から生まれた男児である「君(クン)」と明確に分けられていた。つまり、同じ王の血を引いていながら露骨な身分差が存在したのである。
さらには、大君の中でもそれぞれに格の違いがあった。大君が複数いると、長男を世子として王位継承者にするのが絶対的な鉄則とされていたのだ。
そして、ひとたび世子になると、「東宮(トングン)」と呼ばれる巨大官庁が設立されて、帝王学と称された最高峰の教育が徹底して施されていった。まさに、その身分は国王に次ぐナンバー2なのである。
その一方で、世子という地位を逃した大君たちの運命はあまりにも対照的だった。彼らは国政の中枢から一切の関与を絶たれ、権力の舞台から完全に退場することを強要された。さらに、野心を疑われないように、風雅な道にのみ情熱を注ぐことが暗黙の掟として求められたのだ。
そればかりか、彼らは婚礼の儀を終えると同時に華やかな王宮から半ば追放され、町中で1人の王族としてひっそりと暮らさなければならなかった。