Netflix配信の人気時代劇『スキャンダル』は、朝鮮王朝時代の高官とその妻や側室の男女関係を、耽美的に描いたドラマだ。
高官ユ大監の正妻で物語の中心となるチョ・ユン(チョ氏夫人)に『愛の不時着』『しあわせな選択』のソン・イェジン。彼女を子供の頃から慕っていて、風流を愛でながら愛欲まみれの暮らしをしているチョ・ウォンに『サムダルリへようこそ』『リボルバー』のチ・チャンウク。チョ氏夫人にけしかけられるかっこうでチョ・ウォンが口説こうとする寡婦ヒヨンに『マスクガール』のナナが扮している。(以下、一部ネタバレを含みます)
■話題の韓国時代劇『スキャンダル』遠回しに表現される男女の機微
韓国は性的に保守的な国というイメージが強い。今でこそかなり解放されたが、筆者が大学生だった1980年代後半は、ソウルの光化門前をミニスカートで歩いていたら、通りすがりのハルモニに「女の子がそんなに脚を出して歩くもんじゃない!」と怒鳴られ、お尻を叩かれたことがあるほどだ。
そして、朝鮮王朝時代といえば、厳格な儒教思想を背景に、今とは比べものにならないくらい男女を隔てる壁が高かった時代だ。
そんな朝鮮王朝時代を舞台にしたドラマ『スキャンダル』は、男と女の直接的な欲望の表現や駆け引きだけでなく、暗喩的な描写、上品な表現が見ものである。
例えば、第1話。タバコ屋の娘(シン・ユナ)がユ大監(イ・ジフン)の家を訪ね、ユと微妙な空気になった場面のあとに暗喩として登場したのは桑の葉だった。
桑の葉は、中国や韓国では男女の逢瀬の暗喩として古典にもたびたび登場している。
ユンの家の使用人たちが桑の葉を摘んだり、蚕の幼虫が桑の葉をむさぼり食ったりする描写は、これから起こりうる愛欲の物語を暗示しているのだ。桑の葉のように婉曲ではないが、日本の人にもおなじみのサンチュの葉も似たような暗喩として使われることがある。