■タヌキの金玉は大きくない? 

 飲食店の入り口などに飾られている信楽焼のタヌキの置物。「なんでタヌキ?」と疑問に思っていた方もすくなくないだろうが、実は「多を抜く」という語呂合わせをした縁起物だ。

 また、この信楽焼のタヌキもデロ~ンと足の間で主張しているが、タヌキといえばこの「デカ金玉」がつきもの。俗に「狸の金玉八畳敷き」という言葉もあり(注1)、「とにかく金玉がデカい」というエピーソードが語られることが多いが、実際には特別大きいわけではない。それどころか、実際には人間の小指の先ほどで同じ大きさのほ乳類の中でも小さいほうなんだとか。

注1/「八畳敷」の由来としては、①タヌキの陰嚢(金玉)の皮は丈夫で、これで金箔を叩きのばすと八畳ぐらいにまで延びたから。②皮膚病になったタヌキの誤認。③股の間に尻尾を挟み込んだタヌキを見て金玉と誤認した、など諸説アリ。

 タヌキや妖怪の「化け狸」にまつわる昔話や伝承はそもそもタヌキが生息しない沖縄を除く日本全国に点在している。その中には、新潟県佐渡ヶ島の「団三郎狸」、兵庫県淡路島の「芝右衛門狸」、香川県高松市の「太三郎狸」は日本三名狸と呼ばれ、人々に厚く信仰されている大物もいる。それだけ日本人と馴染みの深い動物、タヌキ。

 身近な存在ゆえに、その価値を見落としているのかもしれない?