■石油って結局、減ってるんじゃないの?

「あと30年で枯渇する」は勘違いだとしても、どうにも気になりますよね……

画像:AbdullahAlMaani, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons

 前回の記事で「石油が枯渇する=石油がなくなる」のはなく「石油が枯渇する=技術的に掘れる石油がなくなる」が正解だったと紹介した。

 

 地球上に存在する「水」は、太陽の熱で蒸発→雲となり雨となって降って→川となって下り、あるいは地表に染み込み→再び、海や地上で蒸発と、循環を繰り返す(これを「水循環」という)。だから、大きく見れば地球上の水はグルグル回っているだけで減らない。

これが「水循環」のモデル。石油はこうはいかない。

画像:John M. Evans/USGS-USA Gov/翻訳:鈴木 康、呉地 正行 (雁を保護する会)/ Public domain, via Wikimedia Commons

 しかし、石油は水のように、循環しているわけではない。石油が雨となって降って川となって流れることはないのだ。ということは、30年後になくなるのは間違いだとしても、やっぱりいつかはなくなるのでないか。実際に油井を掘り尽くすということは起きているのだから、いずれは無職の貯金のようになくなっちゃうのではないか?

 

 実は石油にはなくなっちゃう説となくならない説があり、それは石油が何からできているかによって決まる。ちょっと考えられないのだが、あれだけ使いまくって、石油をめぐって戦争まで起こしているのに、世の中の偉い人たちは石油が何からできているのか、知らないのだ。大丈夫なのか、科学?

 

■石油の起源は恐竜の化石ではなく「ケロジェン」

 学校で石油の正体は恐竜の化石だと習った人も多いだろう。昭和の理科の教科書では石油=恐竜の死骸と教えていた。今、この瞬間から昭和のお父さんはアップデートしてください。

 

 今の教科書では、石油は微生物の死骸だとされている。死んで海底に溜まった微生物が変化したのが石油だ。これを「有機物起源」説という。

 

 実は海底はゆっくりと動いている。あまりにゆっくりと動いているので、人間にはわからないが、地球の大地は地殻という卵の殻のような薄く硬い岩盤の上に載っていて、地殻は地球の中へと移動している。さらにその地殻の下では、マントルという巨大な溶けた岩がゆっくりと渦巻いている。その渦の動きに地殻が引きずられ、地中へ潜り込んでいるのだ。

 

 地震が起きる原因のひとつは、地殻が引きずり込まれる時に起きる揺れだと言われる。映画「日本沈没」はこの地殻の動きのせいで、日本がバラバラになり、沈む話だ。
 

石油の元「油母」とも呼ばれるケロジェンを含んだ岩石を「オイルシェール」と呼ぶ 画像:Public domain, via Wikimedia Commons

 地殻が動くと、微生物が死んで海底に溜まったところもいっしょにマントルへと引きずり込まれる。マントルは岩がドロドロに溶けているほどの高熱で、そこに水圧ならぬ岩圧がかかっている。地下数キロは超高温高圧なのだ。岩の間で微生物のタンパク質や脂質などの有機物が分解や化合を繰り返し、ケロジェンいうロウソクのロウのような半固体状態になる。

 

 このケロジェンが高温高圧で変化したものが石油だ。そのため、「ケロジェン根源説」と呼ぶこともある。 実際、石油からはヘモグロビンやクロロフィルなど動植物の色素の原料である「ポルフィリン」が見つかっていることから、ケロジェン根源説は広く支持されることになった。