■巨大油田を巡り幻の島が復活!?
GoogleMap上では、なぜか今も存在し「訪問者の口コミ」まで書き込まれている!
きっかけは2004年8月、メキシコ国営石油会社がメキシコ湾で巨大油田を発見したとの一報だった。試算された埋蔵量はなんと540億バレル。世界の年間産油量の約1・6倍にもあたる膨大な量だ。ただし、メキシコ湾の油田に関しては、アメリカ合衆国との排他的経済水域の境界が絡むため、新たな巨大油田の採掘権がどちらにあるのか微妙な状況だった。
そして、もし仮に地図上から消滅した「幻の島」が実在すれば、巨大油田の利権はメキシコが”総取り”できることになる。2008年から採掘権の交渉をアメリカと進める一方で、「幻の島の実在を証明せよ」との指示の下、2009年、メキシコ国立自治大学のチームに調査が命じられた。
だが、冒頭に記したように、2009年の調査でもベルメハ島はその痕跡すら発見できなかった。そして、これによりメキシコは225億バレルの石油が埋蔵されていると思われた海域の権利を失ってしまったのだ。
■石油利権を狙いCIAが島を爆破!?
二度にわたる大規模調査でも島が見つからなかった理由としては、初期の地図制作者のミスでそもそも存在しなかった、というものから、海底の地形の変化や海面の上昇により水没してしまったなどの説が挙げられている。
そして幻の島を巡って飛び交う憶測のひとつに、
「アメリカ合衆国の経済水域を拡大するためにCIAが島を破壊した」
という陰謀論めいたものも存在する。確かに、 CIA(中央情報局、Central Intelligence Agency)といえば、キューバ・ピッグス湾事件をはじめ数々のクーデター計画や要人の暗殺、さらには大規模洗脳実験「MKウルトラ」からケネディ暗殺まで実しやかな噂が付きまとう謀略組織だ。
そして秘密工作だけでなく、なかには1998年のスーダンの薬品工場へミサイルをぶち込むなど荒っぽい仕事もしている。とはいえ、島一つを爆破・消滅させるのはさすがに……と思うだろう。
だが、過去にはCIA(アメリカ)ではなくイギリスだが、ドイツ沖にあったヘルゴラント島を丸ごと爆破・消滅させる「ビッグバン作戦」を実施したことがある。戦略上、イギリスの喉元を狙う海軍基地になりかねない島を6800トンもの爆薬で吹き飛ばそうとしたもので、結果は失敗だったが「核爆発を除く人為的な大爆発」のひとつに数えられているものだ。
アメリカの石油利権を守るため、悪名高い諜報組織が秘密裏に島を爆破してしまった──という奇説も、都市伝説や陰謀論で簡単に片づけられないのかもしれない。