■『イカゲーム』の主役イ・ジョンジェは演技派?

 Netflixシリーズ『イカゲーム』で世界的に知られる俳優となった俳優イ・ジョンジェ。以前から日本の韓国通や韓流ファンには認知されていたが、韓国に関心が薄い人にまであまねくその名が知れ渡ったのはこのドラマがきっかけだろう。

 彼が韓国の数え年で51歳だと聞いたらびっくりする人が多いかもしれない。初めて存在感を示したドラマ『砂時計』(1995年)の寡黙なボディガード役から27年も経っているのだが、ほとんど老いを感じさせない。

 イ・ジョンジェがどんな俳優なのか、ひと言で説明するのは難しい。

 たとえばソン・ガンホやキム・ユンソク、ファン・ジョンミンなら「人間臭さ」、イ・ビョンホンハ・ジョンウなら「艶」のような言葉が浮かぶ。ソル・ギョングなら「闇」だろうか。そして、彼らに抜きん出た演技力があることは誰もが認めるだろう。

 イ・ジョンジェも長らく第一線で活躍しているのだから一定の演技力は当然あるのだが、特別上手い俳優という感じはしない。

 ルックスはどうだろう。高身長。面長で少し垂れた一重まぶた。同世代のチャン・ドンゴンのような目鼻立ちのはっきりした美男とは対極にある東洋的な美男。いや、美男かどうかは意見が分かれそうだ。いずれにせよ絵になる男ではある。モデルっぽい(実際にモデル出身)。涼し気で透明感がある。食べ物に例えれば平壌冷麺といったところか。

ソン・ガンホやキム・ユンソクを食べ物にたとえるなら肉料理かもしれないが、目もと涼し気なイ・ジョンジェは麺、それも清涼感のある平壌冷麺だろう