イ・サン』『花よりおじいさん』のイ・ソジン、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でウ・ヨンウの親友トン・グラミを演じたチュ・ヒョンヨンらが出演するNetflix韓国ドラマエージェントなお仕事』は、毎回、カメオ出演で有名俳優が実名で出てくるのが楽しみだ。

 3話には大物俳優キム・スミが登場した。我が国、韓国では、『私たちのブルース』のキム・ヘジャコ・ドゥシム、『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』のナ・ムニらとともに「国民の母」と呼ばれる女優のひとり。そのなかでも、少々気性が荒い役やヨクジェンイ(毒舌)な役が多い。

『エージェントなお仕事』の劇中、キム・スミは所属事務所を訪れるとき、大きな風呂敷包みを付き人に持たせていた。中身はカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)とキムチ。お世話になっている人たちへの手土産だ。おそらく、キム・スミ自身が自ら漬けたものだろう。なぜなら彼女は料理上手で有名な女優だからだ。これまでも自慢の腕をふるう冠番組をいくつも担当し、バラエティ番組で料理を作りレギュラー出演者たちにふるまった経験も豊富だ。

秋、全羅道北部の全州郊外。収穫直前の田園風景

 キム・スミが料理上手な背景については、彼女の出身地、全羅道の話を抜きには語れない。朝鮮半島の南部の左下半分に位置する全羅道は半島最大の穀倉地帯で、西側と南側は干潟を擁する海に面していて海産物が豊かだ。

 そんな全羅道の食材の豊かさを象徴する食べ物が日本の人たちにもよく知られている全州のビビンパだ。キム・スミは全州の北西方向に位置する港町、群山(クンサン)の出身。彼女がスタッフのために作ってきたカンジャンケジャンはまさに群山の名物である。

 日本の人たちの韓国渡航も解禁になったので、美食の里、全羅道の美味しい物を紹介しよう。

カニ味噌をたっぷり抱えたカンジャンケジャン