莞島(ワンド)の高級名産品、チョンボッ(アワビ

 全羅南道のなかでも、とくに木浦の南東方向に位置する島、莞島(ワンド)産のチョンボッ(アワビ)は高級食材として知られる。日本の新大久保にも流通しているので探してみてほしい。

 アワビには刺身、踊り焼き、ステーキ、鍋、(チュク)などの食べ方があるが、日本の人のウケがいいのはチョンボッチュク=アワビ粥だろう。全羅道には美味しいものが多く暴飲暴食しがちなのだが、翌朝アワビ粥を食べると疲れた胃腸が癒される気がする。アワビの産地では鮮度のよいものが流通しているので、粥には胆をすりつぶしたものも入っていてほのかな苦みがたまらない。

 韓国人は粥を日常的に食べる。様々な種類の粥があり、アワビ粥も定番の1つで、韓国ドラマにもよく登場する。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でも、体調がすぐれない登場人物にアワビ粥が供されるシーンがあった。

新鮮な胆まで入ったアワビ粥(チョンボッチュク)

麗水(ヨス)の名物、アナゴの炭火焼

 2012年にEXPOが開催された麗水(ヨス)は、ドラマ『愛の温度』『わかっていても』などにも登場する風光明媚な街。この街の名物グルメはアナゴ料理だ。

 日本にないアナゴの食べ方に、ヤンニョム(甘辛の味付け)した切り身の炭火焼がある。私は何度か日本の人を麗水に案内したが、ほとんどの人が気に入ってくれた。甘辛く味付けされたふわっとした身をほのかな苦味のあるエゴマの葉やサンチュで包んで食べると、ごはんもソジュ(焼酎)も進んでしまう。

 また、麗水ではアナゴとともにハモも有名なので、日本語そのままのユビキ(湯引き)もぜひ味わってほしい。

網焼きしたアナゴの身をサム(葉野菜包み)して食べる

*チョン・ウンスクのオンライン講座「韓国地方旅行の楽しみ方」

・日時:12月18日(日)15時30分~17時
・内容:韓国渡航が解禁され、旅行計画を立てている人のために、本コラムの筆者チョン・ウンスクが地方都市や田舎町の魅力を語ります。予定地域は、済州、木浦、多島海海上国立公園、全州、麗水、統営、鎮海、大邱、慶州、江景、扶余、堤川、江陵、旌善など。講座の詳細やお申し込みは、下記「栄中日文化センター」へ。

https://www.chunichi-culture.com/programs/program_196726.html