久しぶりに日本に旅行に来た韓国人女性2名(ラジオの構成作家と出版社社長)のガイドで、2日目は鎌倉と江ノ電沿線を散策した私の事務所代表(山下龍夫/編集者/60歳)。アテンド最終日は池袋から西武鉄道池袋線の特急Laview(ラビュー)に乗って埼玉県飯能市に向かった。
■訪日観光客のタイトな旅程では、乗り物選びが重要
日本に来てくれた外国人にめいっぱい楽しんでもらおうと旅程を組むと、タイトスケジュールになりがちだ。そんなときは移動時間にゆっくり休めるような交通手段を選ぶとよい。今回のアテンドではその点とても運がよかった。池袋駅から北鎌倉駅までのJR湘南新宿ラインは座席指定ができないにもかかわらず座れたし、藤沢駅から新宿駅行きの小田急ロマンスカーは最新車両で快適。そして、最終日の西武線特急ラビューは3日間歩き詰めの二人に、お昼寝タイムを提供できた。
■朝鮮語由来説もある「飯能」という地名
新緑の武蔵野台地を抜け、特急電車が飯能駅に着く。埼玉県や関東に住んでいる人でも降りる機会の少ない駅だろう。言葉に敏感な人なら「飯能(はんのう)」って変わった地名だなと思うはずだ。飯能の地名には朝鮮語由来説がある。ハンナラ(한나라=大きな国、大きな邑)が転じたものという説だ。同様に飯能よりずっと東寄りの志木、新座、和光市の新倉も新羅(しらぎ)由来説がある。いずれも700年代に朝鮮半島から渡来してこの地を開拓した人々に関係している。
飯能駅では新たな助っ人ガイドが駅前ロータリーに車を着けて待っていてくれた。2000年、チョン・ウンスクとともにソウルのグルメやエステ、ショッピングの本を書いた北山節子(当時のペンネームはコイケ・ケイコ)だ。当時のソウルではイタリア料理店でパスタを頼むと、給食のソフト麺のような歯ごたえのない麺が出て来たり、エスプレッソを頼むと、店員が「量がほんのちょっとしかありませんけど大丈夫ですか?」と確認したりしてきた。牧歌的だった韓国を知る女性である。現在は接客アドバイザーとして活躍しているが、コロナ前年はソウル江南の高級整形美容外科でアンチエイジング施術を受け、その体験をイベントで発表したりもしている。