店舗を構えた店に入って値段をチェックしてみた。
「ほかのエリアより2~3割高いって感じかな。明洞というエリアや、土産物って考えると許せる範囲?」
知人の感想だった。露店のようなことはなかった。やがて落ち着いていくのかもしれないが、ホテルの値段を考えても、観光客向けの値段は高止まりしそうな気配もある。とくに明洞のいまは、財布の紐をきつめにして歩いたほうがよさそうだった。
明洞から地下鉄の鐘路3街駅近くの飲食街に向かった。以前、この界隈で食べたクメギの記憶が残っていたからだ。クメギというのは、半干しのサンマである。エゴマの葉やサンチュなどでくるみ、ニンニクやネギ、味噌を加える。優しい味が気に入っていた。
記憶を辿って探したがみつからなかった。コロナ禍の間に閉めてしまったのかもしれない。そこで近くにあったフグ料理の店に入った。韓国のフグ料理は、特別なものではない。庶民料理というほど安くはないが、日本のような高級料理ではない。メニューを眺めた知人がこういった。
「ここはコロナ禍前よりちょっとだけ高くなった程度」
やはり明洞のいまは新型コロナウイルスの揺り戻し状態ということかもしれない。