今、別れの途中です』は、様々な離別を経験しながら人間として成長していく男女の姿を描いたラブストーリーだ。

 アパレル会社のデザインチーム長ハ・ヨンウン(ソン・ヘギョ)とファッション専門の人気フォトグラファーのユン・ジェグク(チャン・ギヨン)は、愛を信じず仕事では自分の信念を貫くという共通点を持つ。

 このドラマには韓国最大の港湾都市である釜山が登場する。人口330万人あまり、ソウルに次いで韓国第2の都市である釜山にはチャガルチ市場や国際市場といった活気のある伝統市場がある。

 また、パステルカラーに彩られた住居がひしめき合うように集まる甘川(カンチョン)文化村や映画『弁護人』のロケ地で夕景の美しいヒンヨウル文化村のような「SNS映え」する人気スポットなど数多くの魅力的な観光地がある。

 そのなかでも釜山の最大の魅力といえば、やはり東部から南部へと続く広大な海だろう。特に1.5キロに亘る海岸線が伸びる海雲台(ヘウンデ)海水浴場には、年間1千万人余りの観光客が訪れるという。

ヒンヨウル文化村にある映画『弁護人』の撮影に使われたテジクッパ店跡地

■『今、別れの途中です』に登場する釜山・海雲台海岸の新スポット

『今、別れの途中です』第1話で、酒に酔った親友(チェ・ヒソ)の代理として見合いの席に着いたヨンウン。驚くことに見合い相手は、互いに名前も知らずワンナイトを過ごしたジェグクだった。

 2人が食事をしたのが海雲台海岸にあるBUSAN X the Skyの99階にあるレストラン。高さ411.6メートルとソウルのロッテワールドタワーに次いで韓国で2番目に高いビル。

 100階にある展望フロアからは、天気が良ければ海雲台海岸と近隣の高層ビル群が一望できる。99階にあるスターバックスは、「世界一高い場所にある」ことで話題となっている。

韓国で2番目に高いBUSAN X the Skyの展望フロアからは海雲台海岸と高層ビル群が一望できる

 このビルのすぐ近くにある尾浦(ミポ)駅から海雲台海岸に沿って走行する海雲台ブルーラインという海列車が同ドラマに登場した。鉄道線路址を再利用し、松亭(ソンジョン)駅までの4.8キロ区間を運行している。全席オーシャンビューなので、海雲台の海の美しさを思う存分満喫できる。

 実はこの線路には深い思い入れがある。かつて金海空港からの帰国前の時間を利用して、現在の尾浦駅あたりから松亭駅方面へ鉄道線路址をウォーキングしたときのこと。30分以上歩いても一般道に出くわさず、帰国便の出発時間が気になり、途中から崖を上りバス通りへ出ようとしたところで道に迷ってしまった。

 そんな時、ウォーキング中のアガシ(若い女性)が現れたので道を尋ねたところ、以前はなだらかな坂道を登れば車道に出られたのだが、あまり人が通らないので道が無くなってしまったのだと教えてくれた。

 そのアガシが「ついてきてください」と案内役を買って出てくれ、木の根や岩だらけの足場が悪い急坂の獣道を必死に登り、ようやくバス通りにたどり着くことができた。

「お疲れさまでした」とねぎらってくれたアガシと熱い握手を交わし、お礼を言って別れた。そんな思い出の鉄道線路址をブルーラインが走行していると考えると、実に感慨深い。

 現在、尾浦駅と途中駅の青沙浦(チョンサポ)間では、海雲台ブルーラインの頭上をスカイカプセルという小型車両が走行している。ドラマではこれに乗車中のジェグクが、行き交う車両の中にヨンウンの姿を見つけるシーンがあった。