以下は劇中、夜、ユニの家の窓から古墳を眺めるヒョン(パク・ヘイル)とユニの会話である。

 ユニ「家の前に古墳があるって、変じゃありませんか?」

 ヒョン「いえ、好きです」

 ユニ「慶州で暮らしていて古墳を目にしない日はほとんどありません」

 ツアーに参加していた若い男性が大陵苑に来て、「墓なんか見てどうすんですか?」と、こぼしていたが、その気持ちもわからないではない。私も5年前、久しぶりに慶州に来るまでは、古墳の稜線にこんなに安らぎを感じるとは思いもしなかった。ある程度年齢を重ねないとわからない感覚なのかもしれない。とくに路西里古墳群は、住宅街にやわらかい曲線が忽然と姿を現すので、旅行者にはとても贅沢な風景である。

『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』に登場する伝統茶室の庭での一場面 配給:A PEOPLE (C)2014, LU FILM & INVENT STONE
『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』で、路西里古墳群を歩くヒョン(パク・ヘイル) 配給:A PEOPLE (C)2014, LU FILM & INVENT STONE
『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』で、ユニ(シン・ミナ)の住居として撮影された建物は、青春ホステルという実在の宿
4年前、ホステルの並びに店らしきものはなかったが、スタイリッシュなカフェやベーカリー、ビアバーができていた