なぜか韓国コーヒーは薄い。それは昔から感じていることだった。しかし僕の舌にはお茶のように感じられた韓国のコーヒーも変わってきた。スターバックスをはじめとするカフェチェーンが急速に増え、お茶のようなコーヒーは姿を消していった。

 しかしカフェチェーンのコーヒーも、韓国のそれは薄い気がする。その理由は、アメリカーノとアメリカンの違いだと韓国の人はいう。

■韓国コーヒー事情、韓国のアメリカ―ノと日本のアメリカンの違いとは?

 まず一般的なアメリカーノとアメリカンの違い──。アメリカーノはエスプレッソをお湯で薄めたコーヒーをいう。対してアメリカンは、浅煎りのコーヒー豆で淹れたコーヒー。アメリカンというのは和製英語だが、アメリカで飲むコーヒーは、このアメリカンのことだ。

 しかし韓国にはアメリカンはない。少なくとも、僕は目にしていない。メニューには必ずアメリカーノと書かれている。そこから推測すると、韓国では、エスプレッソを薄めたコーヒーが定着していったことになる。なぜそうなったのか。韓国で何人かに訊いたが、どうもはっきりしない。

 韓国に最初の入ってきたコーヒーは、日本同様、インスタントコーヒーだった。それを薄く淹れて飲んでいたわけだ。その薄味へのこだわりが日本人より強かったのだろうか。豆から淹れるコーヒーの時代になっても、薄めを好み、アメリカーノが定着していった。そんな憶測ができる。しかし日本人はやや濃い目が好きで、それがブレンドというコーヒーになっていった。このぐらいしか筋道を描けない。

カフェチェーン「Angel-in-us」でアイスアメリカーノ。4500ウォン、約500円。見た目……薄い?

 しかし韓国にはもうひとつの傾向がある。ホットよりアイスを好む人が圧倒的に多いことだ。これも謎といえば謎である。