Netflixで配信中の『無人島のディーバ』は次回が待ちきれないほど続きが気になる作品だ。

 離島で育ったソ・モクハ(パク・ウンビン)は、父のDVから逃れ、憧れの歌手ユン・ランジュ(キム・ヒョジン)に会うために島を出る決意をする。同級生のチョン・ギホ(ムン・ウジン)と一緒にフェリーに乗船したモクハだが、ハプニングにより、ギホは自ら船を降りる。

 ギホから手渡されたメモを見つめ、ひとりでソウルへ行くことに不安を隠せないモクハ。メモに書かれていたのはランジュのマネージャーとの待ち合わせ場所だった。しかし、モクハはその待ち合わせ場所である「ソウル駅旧駅舎」に行くことができなかった。不慮の事故で無人島に漂着したからだ。

 そして15年後、島の清掃に来た兄弟カン・ボゴル(チェ・ジョンヒョプ)とカン・ウハク(チャ・ハギュン)により、モクハは発見される。31歳になったモクハはソウルへ上京して、生活を始める。そんなある日、モクハはある理由でソウル駅旧駅舎へと向かうのだが……。

■『無人島のディーバ』の待ち合わせ場所として登場したソウル駅旧駅舎

 このドラマでは、ソウル駅旧駅舎が重要なキーワードとなっている。

 1900年に韓国初の鉄道・京仁線が、済物浦(チェムルポ/現在の仁川駅)とソウル・南大門間に開通した。当時「南大門停留所」と呼ばれた木造の駅舎がソウル駅の前身だった。

 その後、3年間の工期を経て1925年にスイスのルッツェルン駅をモデルにしたルネッサンス風の折衷建築に建て替えられ、駅名も「京城(キョンソン)駅」と改められた。

 モダンなレンガ造りの近代建築のソウル駅舎は、2004年のKTX(韓国高速鉄道)開通に伴い、近代的な新駅舎にバトンタッチしその役目を終えた。

 その後、改修工事を経て、2011年にソウル駅旧駅舎は「文化駅ソウル284」として開館。展示会やワークショップなどのための文化空間として使用されている。

 そんなソウル駅旧駅舎の北側に「ソウル路7017」という高架の遊歩道がある。1970年に竣工した自動車高架道路の老朽化に伴い、2017年にソウル駅の東西を結ぶ全長1キロの遊歩道橋として生まれ変わった。

 朝の散歩を兼ねてソウル路7017に上る。新旧のソウル駅が一望でき、なんとも気持ちがよい。花壇に植えられた季節の花が目を楽しませてくれる。眼下に走るバスやマイカーを見送りながら南大門市場へと向かう。

遊歩道橋として生まれ変わったソウル路7017からは、新旧のソウル駅が一望できる
ソウル路7017に咲く季節の花を眺めながらの南大門市場へと散策する