ドギムは巫女ではないのでわからないと言いつつ、「世孫様が一番好きな本ならわかる」と返し、好きな本を言い当てるのだが、サンの最初の問いの答えは、「お前のことを考えている」だった。
その言葉を聞き、動揺するドギムにサンは、「お前は私のものか?」「……お前は私のものになりたいか?」と問うのである。
これに対して「私は誰のものでもありません。ただ自分自身として生きたいと思っています」とドギムは毅然と言い返すが、サンは「厄介なやつだ」と言いながら、指先で彼女の頬に触れ、「お前は私のものだ。ただ、私の命によってのみ生き、そして生きるのだ」と告げるのである。
原作ではさらに、この言葉を聞いたドギムの心情をこう描写している。
「一方的な所有欲をぶつけられた瞬間、なぜかドギムの胸は高鳴った」(『赤い袖先』上巻/第五章「お前のことを考えている」)
状況は異なるが、サンにとってドギムは容易に自分の思い通りにならない女性で、だからこそ自分でも冷静になれぬほど、想いが膨らんでいったことがわかるセリフである。
そして、ドギムのみならず観るすべての者が息を吞むような、サンの真に迫る愛の叫びだった。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]※日本編集版のTV放送は全27話、DVDレンタル及び配信は全36話
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
DVD&Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン