■パキムチ(ネギキムチ)は大人の味

 出前して食べたり店で食べたりするチャジャンミョンには、たいてい黄色のたくあんや生のタマネギスライスが添えられる。

『ドクタースランプ』で、チャジャンミョンの付け合わせに、母が漬けたパキムチ(ネギキムチ)を提案するハヌルはなかなかセンスがいい。

 ふつうの白菜キムチと比べると、苦み、清々しい辛さ、力強い香り、シャキシャキした歯ごたえのある大人っぽい味だ。キムチとしてもチャジャンミョンの付け合わせとしても上級編である。

 なお、劇中の字幕ではネギキムチとなっていたが、韓国のパキムチはたいていワケギを漬ける。

左上から生のタマネギのスライス、チャジャンミョンのソースの元になる黒味噌、たくあん
韓国のパキムチはたいていワケギを漬ける

 筆者は2022年の秋、たまらない美味しさのパキムチと出合った。日本のグルメ番組の取材で訪れた韓方(漢方)タッカンマリの店だ。

 日本人スタッフとともに何度かまかないをいただいたのだが、スタッフ全員がパキムチを美味しい美味しいと言って食べるので、厨房のお母さんが喜んで土産に持たせてくれた。日本のみなさんにもタッカンマリとともにぜひ味わってもらいたい。

「サムボク韓方タッカンマリ」のパキムチ
「サムボク韓方タッカンマリ」のパキムチは主人のお母さんが漬ける
「サムボク韓方タッカンマリ」住所:東大門区回基洞64-65(回基駅から徒歩8分)/営業:11時~23時まで、月曜休

 夜食を食べたあとのジョンウとハヌルは幸せな時間を過ごした。しかし、実際にチャジャンミョンとパキムチを食べたあとの口は、けっしてラブシーン向きでないことは言っておきたい。

『ドクタースランプ』劇中でチャジャンミョンとパキムチで和んだジョンウとハヌルだが、翌日はケランマリ(玉子焼き=写真中央)をめぐって雰囲気は一変する