Netflixでヒット中の『ドクタースランプ』は、高校時代の同級生だった美容外科医のジョンウ(パク・ヒョンシク)と麻酔科医のハヌル(パク・シネ)が、人生どん底のタイミングで再会したことから始まる癒し系ラブストーリーだ。

 最近の恋愛ドラマはあまり観ないという人でも、本作は楽しく視聴できるだろう。主人公ジョンウとハヌルの清々しさはもちろん、情に篤い母ウォルソン(チャン・ヘジン)、ノーテンキな弟バダ(ユン・サンヒョン)、朴訥な叔父テソン(ヒョン・ボンシク)のキャラクターが魅力的で、質のよいホームドラマになっているからだ。

■『ドクタースランプ』にも登場!深夜の誘惑、チャジャンミョン

『ドクタースランプ』11話では深夜、ジョンウとハヌルがチャジャンミョン(ジャージャー麺)とパキムチ(ネギキムチ)を食べるシーンが微笑ましかった。

 チャジャンミョンは韓国人が甘味や脂っこさに飢えていた1960年代から1970年代にかけて急速に普及した。

 1967年生まれの筆者も、子ども時代に刷り込まれた甘いソースの記憶や、親の「成績が上がったら出前取ってあげる」「歯医者で泣かなかったら食べさせてあげる」という甘いささやきの記憶は拭い難い。韓国人にとっては今も国民食のひとつといえる人気メニューだ。

 甘くて脂っこくて高カロリーなチャジャンミョン。美容と健康に敏感な現代人にとっては忌避すべき食べ物だ。ジョンウやハヌルのように夜食として食べるなどもってのほか。背徳の味である。

 そんな食べ物には栄養面でも味の面でも付け合わせが重要だ。海外旅行経験を重ねた今でこそ、韓国人は日本式ラーメンをキムチなどの漬物なしで食べられる人(とくに若者)が増えたが、20年くらい前までは、「キムチなしでラーメンを食べるのはキツイ」と言う人が多かった。

 もちろん今でも家で食べる即席ラーメンにはキムチが欠かせない。ラーメンよりくどいチャジャンミョンならなおさらだ。

チャジャンミョンはソースが全体に行き渡るようよくかき混ぜて食べる。写真は混ぜる前
混ぜたあとのチャジャンミョン