今、話題の日本のドラマ『Eye Love You』では、若手俳優チェ・ジョンヒョプが韓国人留学生に扮し、日本語と韓国語のセリフで好演していて注目を集めている。
2001年に日本デビューしたBoAや2005年に日本デビューの東方神起が流暢に日本語を話すのは、当時日本マーケットを重視していたからなので、そう驚かなかったが、今のグローバル志向のTWICEに日本人メンバーが3人いて、彼女たちの共通語が韓国語と聞いて時代の変化を感じる。
エンタメの世界では韓国語優位の時代になったが、いっぽうで、韓国のドラマや映画を観ていて日本語が聞こえてくることもある。前編に続き、韓国人俳優の映画やドラマの日本語を振り返ってみよう。(記事全2回のうち後編)
■名作『ミセン』や映画『女優たち』に出てきた日本語は?
韓国ドラマだと、日本でも大ヒットした『ミセン─未生─』14話で、主人公(イム・シワン)の職場の先輩(キム・デヨン)が取引先との電話で日本語を話すシーンがあった。かなり棒読みだったが、電話の向こうの日本人には聞き取りやすい水準だった。
2009年の映画『女優たち』は、『ユン食堂』『ミナリ』のユン・ヨジョン、『涙の女王』のイ・ミスク、『マスクガール』のコ・ヒョンジョン、『冬のソナタ』のチェ・ジウ、『逃げた女』のキム・ミニ、『その恋、断固お断りします』のキム・オクピンなど、大ベテランから中堅までそうそうたる女優が実名で登場するセミドキュメンタリーだ。
同作で、撮影スタジオで女優6人が日本や中国への進出について雑談しているとき、ユン・ヨジョンが、「ジウは日本、(ソン)ヘギョは中国。私は在来市場(韓国)を守るよ」と言う場面があった。しかし、在来市場を守るはずの彼女が12年後、『ミナリ』で米国アカデミー助演女優賞を獲るのだから痛快だ。
ユン・ヨジョンが言うジウとは、もちろん日本での実績があるチェ・ジウだ。彼女がスタジオ入りするとき、駐車場で出待ちしていた日本のファンたちに、「寒いですか? 大丈夫?」と日本語で気づかうシーンがあった。
■『悪いやつら』のハ・ジョンウ&チェ・ミンシク、『群山』のパク・ソダム
2011年には、ヤクザに扮したチェ・ミンシクとハ・ジョンウが映画『悪いやつら』で日本語を披露している。舞台は1980年代の釜山。日本から来た在日韓国人のヤクザ(実業家の中島武)を迎え、たどたどしい日本語で接待する場面だった。二人とも裏社会の人間なのに、妙に丁寧な日本語だったので、上手い下手以前に笑ってしまった。
2016年には、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、キム・ミニ、キム・テリが日本語のセリフの多い映画『お嬢さん』に出演した。日本語の専門家が徹底指導したそうだが、微妙な日本語がかえってパク・チャヌク監督独特の倒錯的世界を味わい深いものにしていた。
また、韓国や日本での撮影にこだわる中国朝鮮族のチャン・リュル監督の映画『群山』(2018年)では、在日韓国人役のパク・ソダムが自然な日本語を話していたが、これはセリフが短かったからかもしれない。
そう言えば、パク・ソダムが偽の家庭教師を演じた映画『パラサイト 半地下の家族』では、富豪の奥様に扮したチョ・ヨジョンがひと言だけ日本語を発していた。二代目家政婦(チャン・ヘジン)にペットの餌の説明をするときの「カニかまぼこ」である。