再び矢印を目にした。今度は坂をくだる。……と家の壁にに天使の羽らしき壁画が目に入った。ここが壁画村らしい。壁に沿って壁画がつづくと思っていたが、そうでもなかった。ひとつの壁画から数軒離れてまた壁画といった点在スタイル。天使の羽のような壁画の前には、回収を待つゴミ袋。生活感すら漂ってくる。

梨花洞壁画村の壁画2点。天使の羽風と金魚。なぜこの絵柄に? 少し悩む

 さてここからどの方向? 駱駝山公園には行ってみたかった。ということはさらにのぼる? 急な石段をのぼった。するとカフェやレストラン、雑貨屋が並ぶ通りに出た。もう山の頂に近い立地だ。おそらく展望がいいテラス席の店ということだろう。しかし閉まっている店もいくつかあった。平日の昼はこんなものなのだろうか。

 坂道をのぼっていくと東屋があり、その向かいに城壁が見えた。市街地に近い南山(ナムサン)公園の城壁に比べると高さは低いが、山の稜線に沿ってのび、外敵を防ぐという目的がダイレクトに伝わってくる。

 城壁が低いから、その奥の街も見える。そこにも家が建ち並んでいる。ソウルは城壁の外まで広がっているわけだ。そこも坂と石段の街である。

「ソウルはどこでも坂と石段が多いから……」

 恵化の梨花洞壁画村から駱駝山公園へ。坂の街を歩き、そこから眺める風景でさらに坂を実感する。やはりソウルは坂の街だ。