切なげな眼差しと低音ボイスが魅力のモデル出身俳優チャン・ギヨン。ファン待望の除隊後復帰作となるNetflix最新作『ヒーローではないけれど』が、配信開始から連日人気トップ10入りして人気を集めている。

 本作は『ムービング』、『ヒップタッチの女王』など、非現実的な話にもかかわらず予想外の面白さで笑わせ、泣かせてきた“Kヒーロー”超能力ものに恋愛要素を絡めたファンタジーロマンスだ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■チャン・ギヨン主演『ヒーローではないけれど』、超能力を失った男のファンタジーロマンス

●『ヒーローではないけれど』ストーリー

 超能力を持っているにもかかわらず、現代社会の荒波にもまれるうちにその能力を失ってしまったポク一家。長男のポク・ギジュ(チャン・ギヨン)は、過去に戻る能力をもっていたが、不幸な事故をきっかけに心の病にかかってしまい、能力を喪失、酒浸りの生活をしている。

 母のマヌム(コ・ドゥシム)は予知夢を見る能力を発揮して財産を築いたが、不眠症にかかって今は能力を使えない。長女でギジュの姉ドンヒ(キム・スヒョン/女優、1985年生まれ)は飛行能力の持ち主で、美しい容姿を生かしてモデルとして活躍していたが、過食症で肥満となり空を飛べなくなったうえ、恋愛でも窮地に陥っている。ギジュの娘イナ(パク・ソイ)はスマホ依存症で、超能力があるかどうかは不明だ。

 そんな一家の前に、謎の女性ト・ダヘ(チョン・ウヒ)が現れる。実はダへにはある目的があり……。

■『ヒーローではないけれど』見どころは?

 本作主演のチャン・ギヨンは1992年8月7日生まれ。身長187センチで、2012年モデルデビュー。トップモデルとして活躍するいっぽうで、2015年に俳優活動をスタート。『ゴー・バック夫婦』のクールな先輩役で注目されたのち、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の悪役演技で強烈な印象を残した。

 以降、『ここに来て抱きしめて』『恋愛ワードを入力してください~Search WWW』『九尾の狐とキケンな同居』『今、別れの途中です』にロマンス作品に主演。年下男子からツンデレ、ミステリアス男子まで、女心をくすぐるキャラクターを多く生み出した。2021年8月に入隊、2023年2月に除隊して、本作が除隊後の復帰作となる。

 チャン・ギヨンが演じるのは、超能力を失った元消防士のポク・ギジュ。事故をきっかけに鬱病となり、超能力も失って荒んだ生活を送っている。大切な一人娘イナの気持ちにも寄り添うことができない。そんなギジュが一家の前に現れた謎の女性ト・ダヘと関わるなかで、能力を取り戻していくところから物語が動き出す。

 序盤のチャン・ギヨンは憂いを帯びた眼差しにやさぐれた態度で、彼が役者として評価されるきっかけとなった『マイ・ディア・ミスター』の借金取り立て役を彷彿させる。刺々しさの裏に寂しさが漂い、ふいに見せる不器用な優しさもたまらない。甘く響くセクシーな声も心地よく、目が離せなくなる存在感だ。

 心に大きな傷を抱えるギジュがどのように再生して、ヒーローとなるのか。チャン・ギヨンの変貌ぶりも楽しみだ。

 ヒロインのト・ダへはスパのマッサージ師で、結婚を二度失敗しているという経歴の持ち主。実は仲間と画策して母マヌムに意図的に近づいたのだが、相手が超能力一家と知り……。

 そんなダへに扮するのは、『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』『有益な詐欺』のチョン・ウヒ。1987年4月20日生まれで、映画『サニー 永遠の仲間たち』で注目され、以降、映画とドラマで活躍する演技派女優だ。

 コメディではないロマンス作品のヒロイン役を務めることは珍しく、身長差もある年下俳優チャン・ギヨンとのケミストリーにも期待が高まる。