■個性的な声も魅力なペク・ヒョンジン、じつはミュージシャン

 ペク・ヒョンジンは、コ・アソン主演『サムジンカンパニー1995』のオ会長(パク・クニョン)の息子役、ソン・ガンホ主演『ベイビー・ブローカー』の刑事役など、話題作やヒット作にコンスタントに出演しているが、最初に彼を認識したのは、ホン・サンス監督の映画『次の朝は他人』だ。

 仕事がない映画監督(ユ・ジュンサン)がソウルの北村をぶらついていると、過去いっしょに仕事をしたことのある人たちと偶然会う。ほとんどの人が監督につれない態度をとるなか、ペク・ヒョンジン扮する作曲家だけが親しげに話しかけてくる。総じてモヤモヤする昨品だけに、彼のお人好しの演技にはホッとせられる。

 チャン・リュル監督の映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』では、悪酔いして地元のマドンナ(シン・ミナ)に介抱される、だらしない大学教授を好演。主人公(パク・ヘイル)が高名な教授だと知った途端、態度をガラッと変える俗物ぶりは、これぞペク・ヒョンジンというべき名演技だった。また、同監督の映画『群山』では、朝鮮族を名乗るいかがわしい演説家を怪演している。

『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』で、酔いつぶれ、カラオケボックスから出る教授(ペク・ヒョンジン) 配給:A PEOPLE (C)2014, LU FILM & INVENT STONE
『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』に登場するカラオケボックスは、慶州市の元暁路(ウォニョロ)に実在する

 ハン・ソッキュイ・ビョンホンイ・ソンギュンチャン・ギヨンなど、韓国には声を武器にする俳優は多いが、ペク・ヒョンジンもそのひとりだ。じつはミュージシャンとしても有名で、『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』のエンドロールの歌「サラン(愛)」は彼が歌っている。作詞作曲も本人だ。予告編の終盤でも、その味のある歌声を聴くことができる。

 最近では、イ・ミンギクァク・ソニョンホ・ソンテ主演のドラマ『クラッシュ 交通犯罪捜査チーム』のOSTにも参加している。

 じつは彼の映画デビューは、ソン・ガンホの初主演映画『反則王』(2000年)だ。ソン・ガンホが扮する主人公の友人(チョン・ウンイン)の場面に出て来るので探してみてほしい。