Netflixの話題作『Missナイト&Missデイ』は、ひょんなことから20代と50代を、夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった就活生の物語だ。ファンタジーサスペンスの要素もあるが、主演がイ・ジョンウンチョン・ウンジ(Apink)だけに人間模様が見どころ。とくにコミカルかつシニカルなセリフが多くニヤリとさせられるところが多い。第4話にもそんなシーンがあった。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『Missナイト & Missデイ』の会話に登場する「コルラテック風メイク」とは?

 本作の第4話。50代のイム・スン(イ・ジョンウン)に変身しているヒロインが、クラブに潜入捜査するため、親友で美容動画を配信しているト・ガヨン(キム・アヨン)に頼む。

「最高にイケてるクラブ風にメイクして」

 すると、ガヨンがちょっといじわるっぽく答える。

「コルラテック風じゃなくてクラブ風?」

 ムッとするイム・スン。韓国語学習者ならお気づきかもしれないが、日本語字幕では「コルラテック風じゃなくて」が省略されていた。

「コルラテック」とはいったい何だろう?

 コルラテックの「コルラ」は飲み物のコーラの韓国的発音。「テック」はdiscothèqueのティック。コルラテックとは、飲酒できない未成年者のためのディスコとして1990年代に流行った遊戯施設だ。

 その後、若者の娯楽が「ノレバン(カラオケボックス)」やネットに移行すると、利用者がシニア層に変わり、今では60代以上の男女の庶民的な社交場となっている。「ソンイン(成人)テック」という別名もある。

 メイクを頼んだのが、1970年生まれのイ・ジョンウン扮する50代アジュンマのイム・スンなのだから、ガヨンが「コルラテック風じゃなくて?」と聞くのも無理はない。筆者はイ・ジョンウンと同世代なのだが、思わず笑ってしまう。

 ちなみに、メイクの最中、イム・スンが片方だけアイメイクした顔がアップになるが、これはソン・ガンホ主演映画『弁護人』の同様のシーンへのオマージュであることは明らかだ。

釜山の釜田市場にあるコルラテックの出入口