雨が降りはじめた。展望台の屋上から中2階のような場所に避難した。するとまた飛行機の轟音が聞こえてきた。感覚的には5分に1本の割合で飛行機が着陸している。仁川国際空港はこれほど利用便が多いとは思わなかった。

 中2階から眺めると、空港ターミナルの先にも着陸する飛行機が見える。滑走路はもう1本あるわけだ。2本の滑走路に、これだけの密度で飛行機が着陸する。なんという空港だろうか。

 庭園の緑を眺めながら、ゆっくりしようと思っていた。トランジットだから、後3時間もすれば、再び機内の狭い椅子に座っている。その前に庭園でのんびり……とてもそんなことができる庭園ではなかった。なにしろ5分おきに飛行機が頭上を通過していく。その音もかなり大きい。ゆっくりするどころではない。

 以前、ハヌル庭園のススキの原を人々が散策する写真を見たことがある。穏やかな光景に見えたが、そこには着陸する飛行機の轟音がこだましていたのだろう。写真は音を乗せることができない。

 茫漠とした庭園を横切ってバス停に戻った。するとやってくる1台のバスが見えた。シャトルバスだった。AICC行きのバスは、終点の手前で、貨物ターミナルに停車する。ここは空港とソウルを結ぶ電車、A’REXの空港貨物庁舎前駅でもある。

 空港からソウル市内に行くとき、ハヌル庭園経由というルートもとれるわけだ。

 ただ庭園でのんびりしようと思わないほうがいい。飛行機好きなら楽しめるかもしれないが。

頭上の飛行機は近すぎて写真は難しかった。これは通りすぎた機体