■マンドゥは北側出身の母の味

 マンドゥは中国由来の食べ物で、朝鮮半島の北部でよく食べられている。筆者の母は、産みの母(妹)も育ての母(姉)も、朝鮮戦争のとき北側から南側に避難してきた人だ。映画『国際市場で逢いましょう』の主人公(ファン・ジョンミン)と同じ境遇である。そのため、ソウルに定着してからもマンドゥをよく作ってくれた。

 ソルラル(旧正月)のとき、韓国では雑煮を食べるが、北側ではモチではなくマンドゥを入れることが多い。心をおだやかにする食べものというイメージはそんなところから来ているのかもしれない。

両親が北側出身の家庭のマンドゥ入り雑煮

 ドラマでは、マンドゥの鍋で心も身体もあたたまったのか、笑顔を見せ始めたミレにテピョンが言う。

「ボクたち、こんなふうに偶然会うんじゃなくて、今度デートしませんか?」

 大きな目で見つめるテピョン。とまどいを見せながらも、どこかうれしそうなミレ。

 うらやましい。年がいもなく、筆者の心がおだやかでなくなってきた。

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