人気俳優ソン・ジュンギが主人公の青年グッキに扮するNetflix映画『ボゴタ: 彷徨いの地』は、1997年、IMF事態(韓国の通貨危機)でコロンビアに移民した一家の物語。『ヴィンチェンツォ』に続き、ハードボイルドなソン・ジュンギの演技を堪能できる作品だ。

 1997年のIMF事態(通貨危機)がどういうものだったのかを知るには、キム・テリナム・ジュヒョクのドラマ『二十五、二十一』やキム・ヘス主演映画『国家が破産する日』を観るといいだろう。

 戦後まもなく経済成長が始まった日本の人にはピンとこないかもしれないが、1953年の朝鮮戦争休戦後、世界最貧国だった韓国では、海外に移住することは現実的な選択だった。

●『ボゴタ: 彷徨いの地』ストーリー

 1997年のIMF通貨危機後、暮らし向きをなんとか上げようと、青年グッキ(ソン・ジュンギ)は家族とともに、韓国から南米コロンビアの首都ボゴタに渡った。現地の闇市場でのし上がろうと奮闘する彼は、成功のチャンスをつかむために大きな危険を冒すことになる――。

■『ボゴタ: 彷徨いの地』で描かれた海外移民は、たびたびドラマや映画の題材になっている

 韓国の現代史において、海外への移民や出稼ぎは避けて通れない事象だ。人生をよくもわるくも一変させてしまうことなので、たびたび映画やドラマのモチーフにもなっている。

 新しくはユン・ヨジョンが米国アカデミー助演女優賞を獲った映画『ミナリ』(2020年)、古くは大鐘賞の監督賞(ペ・チャンホ)、脚本賞(チェ・イノ)、主演男優賞(アン・ソンギ)などを独占した映画『ディープ・ブルー・ナイト』(1985年)は、ともに米国に移民した韓国人の話だった。

 大ヒット映画『国際市場で逢いましょう』では、ファン・ジョンミン扮する主人公が家族のためにベトナムやドイツに、『タクシー運転手 約束は海を越えて』でソン・ガンホ扮する主人公はサウジアラビアに出稼ぎに行っていた。

 また、Netflixドラマ『ナルコの神』は、南米から食材のエイを輸入するために、ハ・ジョンウ扮する主人公がスリナムに行き、トラブルに巻き込まれる話だった。