ゆえに、エスンは離婚歴のある30代の男と結婚することになり、グァンシクも島を出て陸地に向かって旅立とうとしていた。船が出航する直前、耐え切れなくなったエスンはグァンシクを追いかけたが、すでに出港した後だった。

　岬の突端で泣き崩れるエスン……それを遠目から見つけたグァンシクはとんでもない行動に出た。なんと、船から飛び降りてしまったのだ。

　一瞬、グァンシクが溺れてしまったのかと思われたが、嘆き悲しむエスンに向かって彼は海の中をまっすぐに泳いできた。本当に胸がスーッとする爽快な場面だった。

　こうして結婚することになった２人。娘も生まれていたのだが、結局はグァンシクの実家では暮らせなかった。2人は部屋を借りて新生活を始めたが、グァンシクは家族のためにイカ漁の漁船で苦労を重ねた。それを見かねたエスンの奮闘ぶりが痛快だった。

　それにしても、グァンシクの一途な生き方が胸にしみる。私の父親は済州島で生まれ育っており、グァンシクより上の世代だった。父親の故郷ということもあって、私は済州島の男性を数多く見てきた。韓国の儒教的な価値観から「男尊女卑の風潮」に違和感を持たなかった人が多かった。

　しかし、『おつかれさま』のグァンシクは、島の大多数の男性たちとまるっきり違っていた。本当に一途で芯が強かった。そんなグァンシクをパク・ボゴムが朴訥に演じていた。見ていて涙が出てきた。

●配信情報

Netflixシリーズ『おつかれさま』独占配信中

［2025年／全16話］演出：キム・ウォンソク『ミセン ー未生 ー』『シグナル』『マイ・ディア・ミスター～私のおじさん～』　脚本：イム・サンチュン『サム、マイウェイ〜恋は一発逆転！〜』『椿の花咲く頃』

出演：IU『マイ・ディア・ミスター～私のおじさん～』『ホテルデルーナ〜月明かりの恋人〜』、パク・ボゴム『雲が描いた月明り』『青春の記録』、ムン・ソリ『私たちの人生レース』、パク・ヘジュン『夫婦の世界』、オ・ジョンセ『サイコだけど大丈夫』、ヨム・ヘラン『マスクガール』、ナ・ムニ『怪しい彼女』、イ・ジュニョン『恋するムービー』