Netflix大ヒット作『ウ・ヨンウ弁護は天才肌』で主演パク・ウンビンの相手役を演じたカン・テオ

 彼の除隊後復帰作として注目を集めるNetflix『ジャガイモ研究所』は、冷徹だが、どこかとぼけたところのあるエリート理事(カン・テオ)と、気性は荒いがカラッとしたジャガイモ研究所所員(イ・ソンビン)のコミカルかつ、愛憎いりまじる絡みが見ものだ。

 また、物語の主な舞台が地方(劇中設定では江原道)なので、韓国の田舎の風物をたっぷり楽しむことができる。なかでも中盤、ヒロインのミギョン(イ・ソンビン)が、出家した父(イ・デヨン)のいる山寺を訪ねるシーンは興味深かった。

■『ジャガイモ研究所』ヒロインの父で僧侶役の俳優イ・デヨンの輝かしい悪役歴

『ジャガイモ研究所』4話で、ミギョンが寺を訪ねる場面。ミギョンの父である修行僧に扮しているのがイ・デヨンだと、最初は気づかなかった。

 イ・デヨンは、韓国人に「油っこい俳優と言えば?」「悪役と言えば?」と問えば、かならず名前が挙がる俳優で、仏教徒が似合うようにはとても思えなかったからだ。

 1964年生まれで、これまで数多くのドラマや映画に出演している。映画では、『我が心のオルガン』(1999年)ではイ・ビョンホン扮する若い教師の先輩教師役、『ペパーミント・キャンディー』(2000年)ではソル・ギョング扮する青年を騙すビジネスパートナー役、『達磨よ、遊ぼう!』(2001年)では僧侶をいたぶるヤクザの親分役など、韓流熱風が吹く前から日本でも大きな話題となった作品で演じた「嫌な奴」のイメージがあまりにも強過ぎる。

 ハ・ジョンウや妻夫木聡と共演した日韓合作映画『ノーボーイズ、ノークライ』(2009年)は、彼の悪辣演技が120パーセント堪能できるので、ぜひ観てほしい。

 そんな彼も昨年、還暦を迎え、いい枯れ味が出てきたようだ。今回の僧侶役をきっかけに、ますます熟した演技を見せてくれるだろう。

■韓国では僧侶や神父の出てくるドラマや映画は枚挙にいとまがない

 1989年に初めて韓国を訪問して以来、興味深いことは多々あるのだが、そのひとつが、ときにカジュアルにも見受けられる宗教心だ。教会や聖堂がいたるところにあり、政治家や俳優をはじめとする著名人も信仰の対象を隠さない。また、大きな寺院の多くが外国人も参加できるテンプルステイ(寺での修行体験)を行っている。

 韓国では、ドラマや映画に牧師や僧侶、教会や寺院が登場することも珍しくない。

 大ヒット中Netflixの『おつかれさま』でクムミョン(IU)の父を演じたパク・ヘジュンは、イ・ソンギュン&IU主演ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』では、主人公の旧友である僧侶に扮していた。

 人気シリーズ『熱血司祭』では、キム・ナムギルが悪事を働く権力者に立ち向かう司祭を演じている。『終末のフール』ではチョン・ソンウやカン・ソグが神父に、パク・ジュヒが修道女に扮していた。

韓国ではテンプルステイ(宿坊体験)が観光メニューのひとつ。写真はテンプルステイを行っている済州の薬泉寺
多くの映画やドラマにも登場し、観光名所にもなっている全州の殿洞聖堂