Netflix日韓食べ歩き番組『隣の国のグルメイト』9話は、ソン・シギョンと松重豊がソウルの薬水(ヤクス)駅前で街角スイーツを食べ歩いたり、テイクアウトして食べ比べるという楽しい回だった。

 韓国には老若男女が楽しめる街角スイーツやスナックが多い。入手しやすい食材で簡単に作れるストリートフードは、筆者のような50代以上の韓国人にとっては我が国がまだ豊かとはいえなかった時代が偲ばれる郷愁飲食だ。

 今回は、素朴さという点でソウルのそれよりもさらに懐かしさを感じさせる釜山や地方の街角スナックを紹介しよう。

■『隣の国のグルメイト』に登場した街角スイーツやストリートフード、食べ歩きするなら釜山や地方がおすすめ

『隣の国のグルメイト』9話にも数軒登場したが、ソウルのような都会で個人経営のパン屋さんを続けていくのはとても大変だ。ベーカリーのチェーン店は増大、多様化する一方だが、地方に行くとまだまだ個人経営のパン屋さんががんばっているのでホッとする。

 韓国第二の都市とはいえソウルとの格差が大きい釜山でも、南浦洞や東光洞、凡一洞辺りではまだそんな店に出合える。ソウルと比べれば釜山は個人経営のトースト屋台も多い。屋台のトーストは、食パンに具材をたっぷり挟んで焼いたホットサンドのようなストリートフードだ。

釜山の凡一洞にあった可愛いパン屋さん
ソウルと比べれば釜山は個人経営のトースト屋台も多い

■釜山&地方のおすすめストリートフード紹介!

●韓国人が大好きなフライドチキントンタク(鶏の丸揚げ)

 全国どこにでもあり、チェーン店や宅配など業態もさまざまなフライドチキン。筆者の子供時代は市場に鶏屋さんがあり、丸ごと(トンタク)揚げてもらうのが楽しみだった。

 釜山にはそんな雰囲気を今に残す人気店が国際市場の西隣の富平カントン市場にある。店先で豪快に揚げているのを見たら素通りは困難。揚げたてを買って歩きながら食べてもいいし、チキンといえばビールと脊髄反射する人は店内で楽しむこともできる。

富平カントン市場の人気店「巨人(コイン)トンタク」

●人気の釜山オムク(オデン)、市場にはオデン通りも

 ここ数年、釜山では衣を着けたり、中に具材を詰めたりするオムク(練り物)が人気だが、海産物の集積地・釜山らしくカニなど魚介のダシをきかせたオデンも捨てがたい。十年前と比べると少なくなったが、街なかには個人経営のオデン屋台がポツポツあるし、富平カントン市場の南側にはオデン通りがある。

カニでダシを取るオデンはソウルではまず見かけない