『孤独のグルメ』の松重豊と韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンが日本と韓国で食べ歩きするNetflixバラエティー番組『隣の国のグルメイト』。日韓対決編となったシーズン2の第5話で、ソン・シギョンが松重豊を案内したのは韓国式中華料理の店だった。
■日本の人にもっともよく知られている韓国式中華料理とは?
韓国の中華料理のアイコンといえば、何と言ってもチャジャンミョン(ジャージャー麺)だ。ドラマや映画によく登場するので、日本の人にもよく知られている。黒くてどろっとしたソースは見た目のインパクトがある。また、それを嬉々としてかき混ぜる韓国人の姿がおもしろく映るようだ。
チャジャンミョンは韓国人が甘味や脂っこさに飢えていた1960年代から1970年代にかけて、急速に普及した麺料理だ。
『隣の国のグルメイト』でソン・シギョンが語っていたように、子ども時代に刷り込まれた甘いソースの記憶は拭い難い。1967年生まれの筆者の場合は、「成績が上がったら出前取ってあげる」「歯医者で泣かなかったら食べさせてあげる」という親の甘いささやきが懐かしい。
最近のドラマでは、『ドクタースランプ』11話で、ジョンウ(パク・ヒョンシク)とハヌル(パク・シネ)が真夜中にチャジャンミョンを食べるシーンが微笑ましかった。
映画では米国アカデミー賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』で、豪邸に寄生している家政婦(チャン・ヘジン)が大手食品メーカーの農心社のチャパゲティとノグリラミョンを使ってチャパグリ(即席チャジャンミョンの一種)をつくるシーンがあった。


松重豊が韓国のチャジャンミョンを日本のソース焼きそばにたとえていたように、日本に留学する韓国人のなかにもソース焼きそばにハマった者が多い。
筆者の友人(40代前半の男性)は、東日本大震災が起きるまで東京で朝晩新聞を配りながら日本語学校に通う苦学生だった。自炊する時間も外食するお金もなかった彼の主食は、袋麺やカップ麺のソース焼きそばだった。「ボクの体は焼きそばでできています」と自虐気味に話していた彼だが、帰国して15年過ぎた今でも、ソース焼きそばが猛然と食べたくなることがあるという。
