外飲みは7月、8月、9月が全盛期。少し秋の気配が感じられ、暑くもなく寒くもない10月になると、夜風がまた酒を呼ぶ。
『マイ・スイート・ハニー』のイ・ハン監督作品『ワンドゥギ』では、秋口、ソウル郊外のシュポの店先でキム・ユンソク扮する主人公がマッコリを飲んでいるところに顔見知りの小説家(パク・ヒョンジュ)が現れ、「夜風がいいのよね。一杯やりたくなる」と言いながら同席するシーンがあった。この季節の夜の空気を情緒的に伝える名場面だ。

外飲みは紅葉がピークを迎える10月末から11月第1週くらいまでで終焉を迎える。そして、ポジャンマチャの幌が降り、飲食店の店内はオンドルの座敷が人気席になってゆく。
韓国ドラマでは漢江を望む大きな窓があるアパートがよく登場するが、あれは経済的に恵まれた人たちが住むところだ。庶民の住むレンガ造りの多世帯住宅や昔ながらの韓屋(伝統家屋)は防寒のため密閉度の高い造りになっていて、窓も小さい。暖かいのはよいのだが、どこか息苦しいのも事実だ。私たちの外飲み好きには厳しい寒さと住環境から解放されたいという心理も影響しているだろう。
韓国には「パラムセロ」という言葉がある。直訳すると「風に当たる」という意味だが、「気晴らしをする」「気分転換をする」という意味で使われる。韓国人の漢江好き、外飲み好きはまさにパラムセロ的な行動なのだ。

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