韓国時代劇にも悪女がよく登場する。現代劇の悪女と根本的に違っているのは、みんな実在していたということだ。中でも、「朝鮮王朝三大悪女」と言われているのは、張緑水(チャン・ノクス)、鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)、張禧嬪(チャン・ヒビン)である。彼女たちは有名な時代劇によく登場していた。
■韓国時代劇の悪女は実在していた!
張緑水は、暗愚にして暴虐な王・燕山君(ヨンサングン)に寵愛された側室である。彼女は王の耳元で毒のような言葉をささやき、浪費ばかりして、民衆の暮らしを地獄へと突き落とした。燕山君が廃され、歴史の表舞台から姿を消した後、張緑水もまた斬首された。その無惨な最期にさえ人々の怒りは収まらず、遺骸に向かって放たれた石は塚となり、恨みの深さを物語った。
鄭蘭貞は、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室・文定(ムンジョン)王后のあくどい手先だった。文定王后は、自らが産んだ王子を王位に就かせるために、正統の世子(セジャ)を陥れようとした。その陰謀の先兵となった鄭蘭貞。名作『女人天下』(2001年)で大女優カン・スヨンがこの役を熱演し、2016年の『オクニョ 運命の女(ひと)』ではパク・チュミがその複雑な人物像を演じていた。
張禧嬪(チャン・ヒビン)は、宮廷の片隅から一歩一歩這い上がり、ついには王妃の座を手にした。その出世物語は「伝説の悪女」として語り継がれている。だが、史料には決定的な悪行の証拠は残されておらず、野心的で我の強い性格が誇張され、「三大悪女」のひとりとして名を連ねたという側面もあった。
彼女を演じた女優はとても多い。2010年の『トンイ』におけるイ・ソヨン、2013年の『チャン・オクチョン』のキム・テヒらが記憶に新しい。
こうして「朝鮮王朝三大悪女」が語られる一方で、より深く、より闇の底に潜む「巨悪の三大悪女」もいた。
