仁川国際空港の第1ターミナル地下にあるスパ施設『SPA at HOME』。トランジットの時間に使ってみることにした。そこで仮眠ができると聞いていたからだ。
バンコクを午前1時台に出発する飛行機に乗った。スケジュールが遅れ、ソウルに着いたのは午前9時すぎ。あまり寝ていなかった。日本に向かう飛行機が出るまで5時間ほどの時間があった。
■仁川国際空港で仮眠をとる方法、第1ターミナルの地下にあるスパへ
施設では、昼間の時間帯の6時間以内利用というコースを選んだ。料金2万2000ウォン、日本円で2330円ほど。それを払い施設に入った。入口で2枚のタオルとサウナウエア、鍵を渡された。鍵には手首にはめるワイヤーがついていて、日本の日帰り温泉などで渡されるスタイルによく似ていた。
靴箱で少し戸惑った。空いているスペースに靴を入れたのだが、鍵が閉まらない。フロントで訊くと、鍵に記されている番号の靴箱を使うのだという。その先に脱衣所があり、そこには大き目のロッカーがあったが、そこも鍵番号で指定されている。システムが少しずつわかってきた。
脱衣所の横が浴室になっていた。大きな浴槽と個室がある。目的は仮眠だから、風呂に入るつもりはなかったが、42度と表示されている温度が気になった。
「体がさっぱりするかもしれない」
体を軽く洗い、足を入れてみた。
「あちッ」
僕の感覚では42度より高い。さっぱりを通し越して火照ってしまうかもしれない。
足を入れただけで浴室を出た。大きな浴槽には中年男性がひとり入っていた。気持ちがよさそうに目を閉じていた。熱い湯が好きな人なのかもしれない。
鍵にはカードがついていて、それを自動改札機のような機械にあてると扉が開いた。その先が仮眠室になっていた。
なかは薄暗かった。目を凝らすと、黒いビニールカバーがついたマットがずらーッと並んでいた。午前中という時間帯のせいか、そこで体を横にしているのは数人だった。
どこで寝ようか……と仮眠室内を歩いていると、ドアがあり、その先がサウナになっていた。サウナというのは、そのなかでじっとしているわけで、そこそこ時間がかかる。仮眠時間がどんどん減っていってしまう。
浴室、そしてサウナ……。スパだから、そういう施設をつくるのは当然なのだろうが、なかには僕のように仮眠だけが目的という旅行者もいるはずだ。風呂に入り、サウナを利用すれば、よく眠ることができるという人もいるだろうが、夜行便利用者は、ただただ眠い。
「浴室やサウナは使えず、仮眠だけっていうコースをつくって、料金を半額ぐらいにしてくれたらいいんだけどなぁ」
などと思ってしまう。6時間以内利用で2万2000ウォンというのは十分に安いと思うが、旅行者というものは勝手なものだ。
